なぜ1500頭も集まったのか?
イルカの大軍団は24日(金曜)、カリフォルニア州の中央海岸沖、カーメル湾にて目撃されました。
発見したのはモントレー湾ホエールウォッチ(Monterey Bay Whale Watch)の調査チームです。
チームは今回、メキシコのバハ・カリフォルニア沿岸の繁殖地へ向かうコククジラの年次移動を追跡していました。
その移動の最中に、イルカの群れに遭遇したといいます。
群れをなしていたのは「ハナゴンドウ(学名:Grampus griseus)」というマイルカ科の種です。
ハナゴンドウは体長3〜4メートル、体重300〜600キロになります。
また、がっしりとした体と丸みを帯びた頭が特徴的で、見た目はマッコウクジラに似ています。
チームは当初、群れの規模感を完全に把握できておらず、大群とはいっても数百頭程度だと思っていました。
しかしドローンを使って上空から撮影してみると、その数は数百頭どころか、1500頭以上はいることが判明したのです。
調査を率いていた海洋生物学者のエヴァン・ブロドスキー(Evan Brodsky)氏は「ドローンを飛ばしてみて本当に驚きました。仲間たちと『画面を見てくれ!こんなにたくさんいるぞ!』と何度も言い合いましたよ」と話しています。
アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると、ハナゴンドウは通常10〜30頭の小さな群れで移動します。
1500頭以上も集まることは決してないことではないものの、極めて珍しい光景だといいます。
こちらが実際の様子。
では、なぜハナゴンドウたちはこれほどの大軍勢で集まったのでしょうか?
それについて、調査員の一人であるコリーン・タルティ(Colleen Talty)氏は「南の海域へ移動中だった小さな群れがいくつも合流した結果だとみられる」と話しています。
ハナゴンドウの群れは冬季になると暖かい海を求めて南下することが知られています。
今回は偶然にも数多くの小さな家族が一堂に会したようです。
タルティ氏は「ボートの周りを飛び跳ねながら泳いで回るハナゴンドウの姿にはとても魅了されました」と話します。
「彼らは本当に楽しんでいました。あちこちで水面を飛び越えたり、尾で水を叩いたり、船のすぐそばまで来たりして、まるで大きなパーティーをしているようでした。
何度見ても驚かされます。決して飽きることがありません」
またタルティ氏は、特に印象に残った瞬間として、船の前方に立って下を見ると、何頭ものイルカが横向きになり、まっすぐに彼女を見つめていたことを挙げました。
イルカたちが船と遊び続ける中、チームは彼らの進行を妨げないよう、まっすぐ前進し続けました。
「急な動きをしてイルカたちを傷つけることは絶対に避けなければなりません。それが私たちにとって最も重要なことです」とブロドスキー氏はいいます。
「だからこそ、彼らと一緒にクルージングするだけにしました。まさに信じられないような体験でした」
その後、調査チームとイルカの大軍団はそれぞれの目的地に向けて、平和的にお別れをしたようです。