社会的スキルが低い人はゲーム内で衝動買いをしやすい
社会的スキルが低い人はゲーム内で衝動買いをしやすい / Credit:clip studio . 川勝康弘
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社会的スキルが低い人はゲーム内で衝動買いをしやすい (2/2)

2025.02.04 13:00:40 Tuesday

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ゲーム内での衝動買いは「人気買い」でもあった

社会的スキルが低い人はゲーム内で衝動買いをしやすい
社会的スキルが低い人はゲーム内で衝動買いをしやすい / Credit:clip studio . 川勝康弘

本研究の結果からは、競争心や「みんなに認められたい」という気持ちが、ゲーム内での衝動買いに直接影響を与えていることが分かりました。

多くのプレイヤーは「キャラクターを強く、魅力的に育てたい」「このアイテムがあればもっと楽しくなる」といった前向きな理由を持ちながらも、実際は「他の人に注目されたい」「みんなに褒められたい」という心理が買い物の決め手になっている可能性があります。

研究者たちは、論文の中で「プレイヤーは、人気者になったり人気を保ったりするために、特定のゲーム内コンテンツを購入する動機がある可能性があり、この行動は人と上手に交流できる能力(社会的能力)のレベルによって違ってくる」と指摘しています。

つまり、オンライン上で人気になりたいという気持ちが強ければ、アイテムの購入や課金をしやすくなり、悲しいことに社会的スキルが低い人はその衝動を抑えるのが難しくなるということです。

一方、社会的スキルが高い人は、人気を求めても、無計画にアイテムを買いすぎることは少ない傾向にあります。

社会的スキルがあるひとは、ゲーム内でのアイテムに頼らずに、人気を得ることができるのでしょう。

(※もしかしたら現実でもゲーム内でも人気に興味がないストイックな生き方をする人が最も能力が高くなるのかもしれません)

このような消費行動は、現実世界で高価なブランド品を買う「補償的消費」と似た現象と捉えられます。

たとえば、自己肯定感が低い人ほどブランド品を買って自分の価値を補おうとする現象があるように、オンラインゲームでも、他人との比較や競争がプレイヤーを衝動買いへと駆り立てているのです。

これは、ゲーム内通貨を使う場合でも、リアルマネーで課金する場合でも、他人から認められたいという基本的な欲求が背景にあるため、同じ傾向が見られると言えます。

実際、心理学の研究では「外部からの評価に頼りすぎると、本当に大切な自分の欲求や楽しみよりも、周りの評判を気にするようになる」と指摘されています。

例えば、社会的比較理論(Festinger, 1954)や自己決定理論(Deci & Ryan, 1985)では、他人と比べて不安を感じた時に、ブランド品や高いステータスの象徴を求める傾向があることが説明されています。

オンラインゲームの世界でも、そのシンボルが「レア装備」や「特別なアバター」として現れているのかもしれません。

では、私たちプレイヤーはどうすればこの衝動買いの輪から距離を置くことができるのでしょうか。

もし今度ゲーム内アイテムを買ったり課金するときには、一度立ち止まって、自分の本当の動機を考えてみるといいかもしれません。

例えば「この購入は本当にキャラクターを育てるためのものなのか?それとも、単に人気を得たい気持ちに買わされているのか?」と自問するだけでも、行動を変える助けになるでしょう。

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