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「キマった」セミ? 「寄生菌」に寄生されたゾンビセミから「覚せい剤」等の化合物を検出 キノコ以外で初

2018.08.06 Monday

Credit: MATT KASSON
Point
・セミに寄生する菌 “Massospora” は、セミの体の後方1/3を喰らって剥ぎ落とす
・寄生されたセミから「ドラッグ」や「覚せい剤」に見られる化合物が検出された
・その化合物の効果により、セミの行動がコントロールされていると考えられる

アメリカのセミの中には、屈辱的な運命をたどるものがいます。それは13〜17年もの間を地中で過ごし、やっと太陽を浴びたかと思えば、“Massospora” と呼ばれる「菌」に出会ってしまった不運なものたちです。

その「出会い」から1週間後、セミの硬い腹部は剥がれ落ち、そこには白い「詰め物」のようなものが現れます。これが “Massospora” であり、セミの内蔵を喰らい、体の後方を「胞子」へと変えてしまいます

そして「お尻」を失ってしまったセミたちは、何事もなかったように飛び回り、菌を地中に振りまき、他のセミにも寄生するのです。ウェストバージニア大学で菌の研究をするマット・カッソン氏は、このセミを「空飛ぶ死の食卓塩(flying saltshakers of death)」と表現しています。

このように、菌によりセミのお尻が剥がれ落ちることは19世紀から知られていましたが、ここにはさらなる「秘密」が存在していました。カッソン氏のチームが新たに発見したのは、被害者のセミが、ドラッグを服用したかのような幻覚状態に陥っていたという事実です。体の1/3が無くなっても、何事もなかったように歩き回れるのはそのためであると考えられます。

そして、彼らのチームがその不運なセミについて詳しく調査した結果、驚くべき事実が発覚しました。セミから、マジックマッシュルームに含まれる「シロシビンが検出されたのです。シロシビンがキノコ類以外で確認されたのは、これが初めてのことです。

しかし、驚きはそこにとどまりません。さらに、セミから覚せい剤の一種である「カチノンも検出されました。これも、これまで植物の「カート」においてのみ確認されていたものです。

Discovery of psychoactive plant and mushroom alkaloids in ancient fungal cicada pathogens
https://www.biorxiv.org/content/early/2018/07/24/375105

それでは、想像したくありませんが、そのセミを食べれば「ハイになる」ことはできるのでしょうか?

答えは “Yes” 。ただし、寄生初期の段階で「十数匹」取り込む必要があるとのこと。実際にはかなりハードな行為であるといえます。

“Massospora” に感染したセミのオスのふるまいは、とても奇妙です。体の一部を失っているにも関わらず、過活動になり性行動も活発化。たとえ相手がオスであろうとも、近くの個体との性行為を試みます。メスのマネをしてオスを誘惑することさえあります。

しかしながら、その行為は当然ながら子孫繁栄にはつながりません。彼らの性器はすでに “Massospora” によって食い尽くされているか、剥ぎ落とされているのです。それではなぜ、オスはそのような行為をするのでしょう?

答えは簡単、“Massospora” にとってメリットがあるからです。“Massospora” は、その「疑似性行為」を通じて新たな「ホスト」を見つけることができるのです。

昆虫の行動をコントロールする寄生菌は、他にもアリを「ゾンビ化」させる “Ophiocordyceps”  など、様々なものがあります。しかし、今回発見された「シロシビン」や「カチノン」などの化合物を特定したのは、これが初めてのことです。

https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/16334

via: theatlantic / translated & text by なかしー

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