最新研究で「進化自体が進化」することがあると判明
最新研究で「進化自体が進化」することがあると判明 / Credit: Understanding Evolution.
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最新研究で「進化自体が進化」することがあると判明

2025.02.28 22:00:08 Friday

150年以上前、チャールズ・ダーウィンが「自然選択」という新しい概念を打ち立てたとき、人々は生物が環境に合わせて姿を変え続けることに大いに驚きました。

ところが、アメリカのミシガン大学(University of Michigan)による研究によって、進化自体がさらに「進化しやすくなる」――つまり「進化が進化する」という現象が示されました。

どういうことかというと、環境が特定のパターンで変わり続けると、生物(あるいはデジタル実験で使われる仮想の“生物もどき”)は、ただ単に今の環境に合わせるだけでなく、将来の変化にも即応できるよう自分自身の「進化しやすさ」を高めていくというのです。

一部のウイルスや細菌が驚くほど素早く薬剤耐性を獲得する背景にも、こうした仕組みが隠されている可能性があります。

まるで“進化”そのものが長い時間をかけて柔軟な対応力を身につけているかのようですが、いったいどのようにして進化は自らを進化させているのでしょうか。

研究内容の詳細は『PNAS』にて発表されました。

Evolution takes multiple paths to evolvability when facing environmental change https://doi.org/10.1073/pnas.2413930121

進化の速度「進化可能性」が注目されている

最新研究で「進化自体が進化」することがあると判明
最新研究で「進化自体が進化」することがあると判明 / Credit:Canva

ダーウィンが『種の起源』を発表した19世紀後半、自然界に存在する多様な生き物たちが、神による創造ではなく「自然選択」というしくみによって形づくられてきたという考え方は、社会に大きな衝撃を与えました。

自然選択とは、生き物が子孫を残す過程でわずかな違い(変異)が生じ、その中で環境に合った特徴を持つ個体が生き延びやすく、やがて集団全体がそうした特徴をもつように変化していくという仕組みです。

これは当時の常識から見ると極めて斬新でしたが、その後、メンデルの「遺伝の法則」が再発見されて「変異」が遺伝子を通じて親から子へ受け継がれることが明らかになりました。

さらに20世紀にはDNAが遺伝情報の実体であるとわかり、分子生物学が進化論と結びつくことで「モダン・シンセシス(現代的総合説)」が確立され、突然変異や遺伝的浮動、遺伝子の流入・流出など、複数の要因が組み合わさる進化の枠組みが整備されてきました。

ところが近年、そうした「どうやって進化するか」だけでなく、「進化そのものがどれくらい起こりやすいか」という“進化可能性(Evolvability)”の重要性が注目を集めています。

実際、ウイルスや細菌が薬剤耐性を獲得するスピードの速さを思い浮かべると、ごくわずかな変化が驚くほど速やかに集団へ広がってしまう現象の背景に、「進化可能性」が深く関わっていると考えられています。

長い進化の歴史の中で、環境が何度も大きく揺らいだり短期間で変わったりした場合、進化というプロセス自体が「将来の変動に備える形」に変化していく可能性が指摘され、まさにそれが「進化が進化する」というテーマの核心となっています。

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