恋人の浮気を疑ったとき、どんな行動を取るのか?
「パートナーの浮気を疑うと、人はどんな行動を取るのか?」
これは心理学者や進化生物学者の間で長年議論されてきたテーマです。
私たちの恋愛関係は、単なる感情だけでなく、進化的な適応の結果とも言えます。
特に人間の恋愛関係は一夫一妻制が基本であり、パートナーとの関係を維持することは生存戦略の一環として重要でした。
しかし恋人が他の異性に興味を示した場合、人はどのように対応するのか、その詳しいところは学術的にあまり調査されていません。

そこで研究チームは今回、実験的に「恋人の浮気を疑う状況」を作り出し、その影響を検証することに。
チームは222名(男性125名、女性97名、平均年齢33歳)の参加者を対象に実験を行いました。
参加者はランダムに2つのグループに分けられました。
1:浮気の脅威グループ
・1分間のTikTok動画を視聴(内容:浮気の一般性についてのセラピストの解説)
・その後、恋人が他の人と浮気し、恋に落ちる場面を想像するよう指示される
2:対照グループ
・1分間のTikTok動画を視聴(内容:ネガティブな食べ物のレビュー)
・その後、楽しみにしていた食事が実際にはまずかった体験を想像する
その後、専用の質問票を使って、全員が「現在の恋愛関係においてどの程度嫉妬を感じているか」を評価し、今後1カ月以内にどの程度「配偶者保持行動(=パートナーを自分の元に引き留めるための行動)」を取る意向があるかを測定しました。
その結果、恋人の浮気を疑うように設定された参加者は、対照グループよりも嫉妬心が大幅に増加することが確認されています。
そして嫉妬が増加した参加者は、男女を問わず、パートナーを引き留めるための配偶者保持行動をより多く取る意向が高くなっていました。
が、その行動内容をさらに詳しく分析してみると、配偶者保持行動は「利益提供型の戦略」と「コスト負担型の戦略」に分類できることがわかったのです。