2億年前の草食恐竜の足跡を66個発見!

この調査が始まったのは、クイーンズランド大学の古生物学者であるアンソニー・ロミリオ(Anthony Romilio)氏が学校側から相談を受けたことがきっかけでした。
ロミリオ氏によると「学校の先生たちは以前から岩石に見られる模様が恐竜の足跡ではないかと疑っていたようですが、本物かどうか確信が持てず、中にはレプリカではないかと考える方もいた」といいます。
そこで研究チームは3Dイメージング技術を用いて岩石を精密にスキャンし、足跡の形状や深さを分析しました。
その結果、岩の表面には66個もの足跡が残されており、少なくとも47頭の恐竜がこの場所を歩いていたことが判明したのです。

これらの足跡を残した恐竜は「アノモエプス・スカンブス(Anomoepus scambus)」という小型の草食恐竜で、体長は約1メートルほど、二足歩行で3本の指があり、脚の長さは15〜50センチ程度だったと見られます。
さらに足跡の詳細な分析から、その移動速度は時速6キロ以下であると推定されました。
ロミリオ氏によると、これらの恐竜たちはおそらく「おそらく水辺の湿った粘土の上を歩きながら餌を探していた可能性が高い」といいます。
足跡だけから、ここまでの情報が得られるなんて探偵のようですね。

今回の研究から、ジュラ紀初期のオーストラリアにも豊かな恐竜の生態系が広がっていたことが伺えました。
しかしまだ多くの謎が残っています。
例えば、なぜこれほど多くの恐竜の足跡が一カ所に集中しているのか?
なぜ群れで移動していたのか?
また、この地域には他の恐竜の足跡や化石がまだ眠っている可能性はないのか?
ロミリオ氏は「オーストラリアにはまだ未発見の恐竜の証拠が数多く存在すると考えています。今後の研究によって、さらに多くの発見があるかもしれません」と述べています。