ChatGPTの普及とメンタルへの懸念
ChatGPTは、2023年以降、特に若年層の間で急速に普及しました。
仕事だけでなく、気軽な会話や悩み相談など“感情的な用途”にも使われるようになり、まるでAIが「新しい友達」のような役割を果たすことも珍しくなくなっています。
しかしその一方で、心理学者や社会学者の間では、「AIとのやり取りが人間関係の希薄化を招くのでは?」といった懸念も強まっていました。

こうした背景の中で行われたのが、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボとOpenAIの研究チームによる2つの共同研究です。
1つ目は「Live Platform Study: Affective Use of ChatGPT」という研究で、ChatGPTの音声モードを用いた数百万件の会話ログの分析と、4000人以上のユーザー調査が行われました。
研究チームはAIとの会話に感情的な表現(愛称、励まし、支えを求めるなど)がどれだけ含まれているかを分析。
加えて、音声モードの利用が感情的つながりにどう影響するかを調べました。
2つ目の研究は「Randomized Controlled Study on Chatbot Psychosocial Effect」で、4週間にわたって981人の被験者にChatGPTを使用してもらう実験です。
参加者は、音声あり・音声なし、感情的に距離のある話題か個人的な話題か、などの異なる条件にランダムに割り当てられました。
目的は、孤独感、社会的交流、AIへの依存といった心理社会的影響を定量的に測ることでした。
では、これら2つの研究からChatGPTの使用に関してどんなリスクが浮かび上がったのでしょうか。