すべての生き物は不気味な光を発しているが、それは死ぬと消えてしまう
すべての生き物は不気味な光を発しているが、それは死ぬと消えてしまう / Credit:V. Salari et al . The Journal of Physical Chemistry Letters (2025)
biology

あらゆる生命は生きているうちは光を発しているが、死ぬと消えてしまう (3/3)

2025.05.14 21:00:35 Wednesday

前ページ命が消えると光もほとんど消えてしまう

<

1

2

3

>

“生命センサー”としての可能性

“生命センサー”としての可能性
“生命センサー”としての可能性 / 観葉植物ウチワゴムの葉を先端付近で軽く切り裂き「ケガ」をさせました。こうすると葉は傷を修復しようとして活性酸素を出し、その副産物として超弱い光が生まれます。傷つけた直後から 1 時間露光の写真を 16 回(16 時間連続) 撮り、どのくらい光るかを追跡したものです。写真の配置でいうと 左上の葉はアルコール消毒液、中央の葉は過酸化水素(強いオキシドール)、下の葉は局所麻酔薬ベンゾカインのジェルを塗布し、右端の葉だけは何も塗らず「ケガだけ」の状態で光り方の基準(コントロール)としました。つまり 図 は「同じ傷を負った葉でも、アルコール・オキシドール・麻酔薬によって“傷口で発生する光”の強さと持続時間がどう変わるか」を16 時間ぶん並べて見比べる写真――というわけです。/Credit:V. Salari et al . The Journal of Physical Chemistry Letters (2025)

本研究により、超弱いながら生物はわずかなを発していること、そしてその光は生命活動と密接に結びついていることが改めて示されました。

生きている個体では微弱光子の放出強度が高く、死亡すると著しく低下するという現象は、いわば「生きているか否か」を示す生物の指標として機能するかもしれません。

研究チームのDaniel Oblak教授(カナダ・カルガリー大学)は「高度なカメラ技術によって、命の灯火が消える瞬間をとらえられました。

この微弱な光は新陳代謝やストレス状態を反映した生命活動のシグナルであり、今後これを利用すれば動物や植物の健康状態を非侵襲的にモニタリングできる可能性があります」と述べています。

もっとも、計測系のコストやノイズ対策など課題も多く、実際に「光を見るだけで生死を即判定」するにはさらなる検証が必要です。

それでも、微弱すぎて普段は感じられない「生命の輝き」を観測する技術は着実に進歩しており、将来的には医療や農業への応用が期待されています。

例えば作物の葉がストレス(乾燥や病害など)を受けた際に発する光を検知して早期に対処する、あるいは人体で異常な発光パターンを捉えて病気の兆候を掴むなど、多様な可能性が広がっています。

実験レベルでも、がん細胞や神経変性疾患モデルにおける生物光子の変化を追跡する研究が進められており、この新しい“生命センサー”は今後ますます注目を集めることでしょう。

<

1

2

3

>

あらゆる生命は生きているうちは光を発しているが、死ぬと消えてしまう (3/3)のコメント

ゲスト

オーラが見える人っていうのはこれを実際に捉えている可能性もありそうですね。

コメントを書く

※コメントは管理者の確認後に表示されます。

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

生物学のニュースbiology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!