誕生日プレゼントが歴史を掘り起こす
アチソンくんは2023年、カナダ最南端のオンタリオ州にあるポイント・ファームズ州立公園を家族と訪れていました。
この場所はアメリカとの境にあり、五大湖の一つである「ヒューロン湖」が目の前に広がっています。
アチソンくんが手に持っていたのは、誕生日にもらったばかりの金属探知機。
ピクニック気分の中で、何気なく砂浜をスキャンしていたそのとき、探知機が「ビーッ」と強い反応音を立てました。
そこでその場所を掘ってみたところ、錆びついた1本のスパイク(釘)が見つかったといいます。
一緒に来ていた父親は「ただの杭じゃない?」と気にも留めませんでしたが、アチソンくんは諦めず、さらに深く掘り続けました。
すると今度は、また別のスパイクとそれが打たれた木材が現れたのです。

思わぬ事態に、アチソンくんの父親もこれはただ事ではないと気づき、現場を管理する州立公園の職員に報告。
その後、同公園が海洋遺産の保護活動を行っている「オンタリオ海洋遺産委員会(OMHC)」に連絡しました。
アチソンくんの話を聞いたOMHCの考古学者たちは、現場を本格的に発掘するための許可が下りるのを待った後、今年初めについに発掘作業を開始。
すると、何本ものスパイクが打たれた「ダブルフレーム構造」の船体の一部が出土したのです。
これは通常より頑丈に作られたスクーナー船(2本マストの帆船)に特有の構造でした。
調査チームはスケッチや写真記録を取りながら船体の全貌を把握し、現時点では船の一部しか見つかっていませんが、これは1856年に沈没したとされる「セント・アンソニー号」である可能性が主張されています。