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psychology

続けるだけでは意味がない。研究が示した「成長できない人の条件」 (2/2)

2025.05.24 13:00:14 Saturday

前ページ心理療法士と教師は経験年数が能力に繋がらない

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経験が重要な職業も、落とし穴ある

ここまでの話で「心理療法教師ように、接する職業だから経験効果見えにくいでは?」と感じた人いるかもしせん。

たしかに、人間相手仕事は、成果測定難しい側面あります。

では、手術行う医師や、コード書くソフトウェア開発者、演奏する音楽家といった「経験技術上達直結しそう職業」ではどうしょうか。一見、こうした分野では「続けるほど上達する」という常識当てはまるようます。

ところが、これらの分野においても、単に経験年数重ねだけでは、むしろ問題起きるという研究報告があります。

外科医世界では、実際手術行う経験によって技術かれる事実です。複数研究で、手術件数多い外科医ほど、患者回復く、手術かかる時間なるという結果ています。

しかし、ここにも大きな落とし穴あります。

2005に『Annals of Internal Medicine』という医学掲載研究(Choudhry et al.)では、医師卒業年数増えるにつれて、最新治療ガイドライン守る割合なることした。

治療ガイドライン」は、様々な報告て「この病気こう治療すべき」という情報が共有されたものです。

若い医師は当然、最新研究結果ガイドラインを学んでいるのでこれらを積極に治療に取り入れます。

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しかしベテラン医師ほど十分な知識更新をせず、自分が昔学んだ、しん方法優先する傾向がでてしまうのです

その結果、ベテラン医師は患者にとって最も安全で効果の高い治療を選択せず、医療の質が下がってしまうリスクが生まれるのです。

実際2017に『BMJ(British Medical Journal)』掲載研究では、73万人入院患者データ分析した結果、60以上医師担当した患者は、40未満医師比べ30以内死亡率有意高いこと報告れています

研究者その理由として、「医師年齢重ねるにつれて、最新医学知識治療ガイドライン基づく医療提供する頻度なる」可能性を指摘ています。

ソフトウェア開発分野でもよう問題あります。

この分野技術極めて進化おり、過去経験だけっていると、あっという間に時代遅れってしまう可能性あります。

Googleソフトウェアエンジニア96対象した2024研究では、AI支援機能使用することで、複雑タスク完了時間平均21%短縮れたと報告されており、最新のツールをどれだけ使いこなせるかが、この分野でどんどん重要になる可能性が示されています。

しかし2024年に米国で実施されたDiceの調査では、18〜34歳のエンジニアの約40%が週1回以上AIツールを使っている一方で、55歳以上のエンジニアの半数はまったく使っていないと回答しています。

開発者の年齢が上がるほど最新ツールの利用を避ける傾向があるという事実は、外科医の事例と同様の問題がこの分野で起きる可能性を示唆するものです。

このように、「っているからいる」ないという問題は技術分野においても起こり得る者なのです

さらに意外なことに、音楽演奏でもこの問題は報告されています

ピアノバイオリンなど演奏者は、何年練習いる上達するとわれがちです。

しかし、心理学者アンダース・エリクソン提唱した「意図練習(deliberate practice)という考え方によると、ただ同じこと繰り返してい上達しないことかってます。

意図練習は、「自分苦手部分意識し、それ改善するよう方法練習する」ことです。

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エリクソン研究では、世界演奏家アマチュア演奏者比較した結果、両者練習時間よりも、練習の「質」と「目的意識」ほうが圧倒的に影響がことています。

つまり、「10年間ピアノいる」ことが、そのまま「10年間上達」意味するわけではないです。

この理論は、音楽だけなく、スポーツ医療、学習、さらにはビジネススキル開発まで応用おり、「経験年数いるない」こと科学裏付けるものってます。

ただ続ける」こと限界

ここまできたように、医師、開発者、音楽家といった分野あっも、ただいるだけでは能力必ずしも向上しません

むしろ、経験だからこそ陥る罠――「過去やり方固執する」「変化拒む」「振りなくなる」といった問題が、見えにくい積みっていく傾向が示されています

継続なり」という言葉まされるものあります。

しかし、その継続本当に生むためは、「ただ続ける」だけではないということが、様々な研究報告から見えます。

外部からフィードバックく、成果見えにくい仕事では、自己流まましまうリスクなります。逆に、経験重ねること確実上達見込める分野あっも、知識更新意識改善ば、成長ってしまます。

これは「努力とは何か?」ということを考え直させる問題です。

努力われるどうかは、それに掛けた時間でも、がむしゃらに頑張るという根性論でもなく「努力質」かっているです。

もしあなた今、いるしたら、「自分成長できいるろうか?」「改善ため工夫いるろうか?」と、ぜひ一度問い直しください。

継続本当なるためは、「変わり続けること」求めいるです。

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続けるだけでは意味がない。研究が示した「成長できない人の条件」 (2/2)のコメント

ゲスト

そんな事を言っていたら誰もいなくなった業界があるなと思いました。
あれみたいにならないといいですね。

ゲスト

今までなんとなく経験的に感じていたことが、腑に落ちた感じです
努力の質が大事
参考になります

ゲスト

個人的にこれを努力の方向音痴とよんでいます

ゲスト

へのへのもへじだけ毎日描いても絵は上手くならないし
料理下手の主婦は毎日自己流で料理するから何十年経っても上達しない
当たり前の話

ゲスト

ただやってるだけの人と工夫しながらやる人じゃ差ができるのは当たり前なんだよなぁ

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