水飲み場を攻略したオウムたち
この驚きの行動は、偶然ではありませんでした。
キバタンたちは、公園などに設置されたツイストハンドル式の水飲み場を器用に操作していたのです。
水飲み場は、当然ながら、人間が使うことのみを想定して設計されており、ハンドルをねじっている間しか水が出ません。
つまり、キバタンが水を飲むには、足でハンドルをつかんでひねり、さらに体重をかけてハンドルを保持し、水を一定時間出し続けるという複雑な連携動作が必要になるのです。
こちらが実際の映像。
※ 視聴の際は音量にご注意ください。
研究チームは、2018年に野生のキバタンがこの行動を行っている現場を発見し、そこから本格的な調査を開始。
周囲の水飲み場10カ所を調べたところ、そのうち5カ所でキバタンによる使用の痕跡(くちばしの噛み跡など)が確認されました。
さらに動体検知カメラを設置して、44日間にわたる映像記録を分析した結果、延べ525回の「水飲みチャレンジ」が記録され、そのうち41%が成功していたことがわかりました。
特筆すべきは、研究者が目印をつけた個体(24羽中17羽)が全体の70%もの成功率を示していた点です。
この数字は、以前に観察された「ゴミ箱のフタ開け行動(=ゴミ箱を開けて、中の食料を漁る行動)」とほぼ同じ成功率で、キバタンの高度な学習能力と行動の洗練を示しています。
また、朝と夕方に活動が集中することや、雨の日には試行回数が減ることなど、行動パターンにも明確な法則性が見られました。