心の疲れを生む「仕事以外のストレス」とは?
では、燃え尽き症候群の真の原因はどこにあるのでしょうか?
研究チームを率いた心理学者レンゾ・ビアンキ氏は、「バーンアウトの背後には、家庭や個人的な生活にまつわるストレスが多く関与している」と指摘しています。
たとえば──
・パートナーや家族とのトラブル
・子育ての悩み
・健康上の問題や慢性的な体調不良
・将来への不安や経済的なプレッシャー
これらの「仕事とは無関係な問題」が、じわじわと人の心を疲弊させ、「職場で燃え尽きた」と感じさせてしまうのです。
実際に調査でも、回答者の70%以上が「燃え尽き症候群の原因は私生活のストレスにある」と答えていました。

さらに、性格の影響も無視できません。
とくに「不安傾向が強い人」は、仕事以外の出来事にも過剰にエネルギーを消耗し、結果として「すべてが重たく感じられる」状態に陥りやすい傾向があるとされています。
ビアンキ氏は「バーンアウトを“職場問題”と決めつけてしまうと、本来必要な支援や対処が見落とされてしまう恐れがある」と警鐘を鳴らしています。
職場環境の改善はもちろん重要ですが、それだけでは不十分です。
個々の生活状況や性格特性も視野に入れた、より個別化された支援が求められる時代に来ていると考えられます。
職場がストレスの温床である場合も確かにありますが、すべての疲れを職場のせいにしてしまうのは、見当違いの対処につながる危険性があります。
もしかすると、心の活力をすり減らしている本当の原因は、日常のなかに潜んでいるのかもしれません。
基本的安心の基盤ができてないと、外で挑戦、は難しいと思う