青い光は『脳の警報装置』を切るスイッチだった

今回の研究によって、「カジノやスマホから発せられる青い光は、『損したくない』という人間の心理を鈍らせ、気づかぬうちに危険な賭けへと導く可能性がある」ことが示されました。
研究者たちも論文中にて「現代のカジノで使われるスロットマシンをはじめとしたギャンブル機器のほぼすべてが、青色成分の強いLEDやLCDのディスプレイを使用している」と指摘し、このような青色照明が人々のリスク判断を変化させる可能性について注意を促しています。
ではなぜ、青い光が私たちの判断力にここまで影響を与えるのでしょうか。
研究者たちはその答えを、脳内にある「扁桃体」という小さな器官の働きに見つけています。
扁桃体は、不安や恐怖を感じると活発に働き、私たちが危険を避けるための警報装置のような役割をしています。
ところが、青色に特に敏感な目の奥にある特殊なセンサーが刺激されると、この扁桃体の働きが少し弱まってしまうというのです。
つまり青い光は、脳の「警報装置のスイッチ」を鈍くし、「負けるかもしれない」という恐怖や不安を感じにくくしてしまう可能性があるというわけです。
その結果、私たちは目先の利益に目が行き、「まあいいか」と楽観的にリスクを取るようになってしまうのです。
現代ではカジノやパチンコ店だけでなく、スマホやタブレット、オンラインゲームなど、青色が強いLED照明があらゆるところに使われています。
実際、私たちは知らず知らずのうちに、これらの照明に囲まれながら日々生活しています。
もしこの青色の光が私たちの判断を本当に狂わせるとしたら、カジノのようなギャンブル施設にとっては非常に都合の良い状況ですが、利用者にとっては決して望ましいことではありません。
今回の研究結果を受けて、研究チームは「照明の青色成分を減らすことで、ギャンブルをより安全に楽しめるようになる可能性がある」と指摘しています。
言い換えると、カジノやオンラインゲームの画面から青色の光を少し抑えるだけで、人々がリスクを過度に取りすぎず、もっと健全な意思決定ができるようになるかもしれない、ということです。
これは特にギャンブル依存症を防ぐためにも重要なヒントとなりそうです。
ただし、今回の実験は室内での小規模なものであり、実際のカジノの環境でも同じような効果があるかどうかは、今後さらに調査が必要でしょう。
とはいえ、身近な照明が私たちの感情や判断にここまで深く影響を及ぼすかもしれない、という可能性は驚きです。
私たちは普段あまり気づきませんが、実は環境の光ひとつで、自分自身が思っている以上に大きな影響を受けているのかもしれません。
「照明の色が変わるだけで、自分の『損したくない』気持ちが簡単に揺らぐなんて」、と思わず誰かに話したくなるような、興味深い発見です。
この研究がさらに進めば、ギャンブル施設だけでなく、私たちの暮らしの中での照明の使い方にも新しい視点が生まれることでしょう。
照明というごく身近な要素を工夫することで、人々がより落ち着いて安全な意思決定をする手助けができるかもしれません。
今後の研究成果にも期待が高まります。
ジト目お姉さんキター。