恋愛の「終わりパターン」が判明
恋愛の「終わりパターン」が判明 / Credit:Canva
psychology

恋愛の「終わりパターン」が判明――それは2年前から始まっていた (2/3)

2025.06.24 22:00:49 Tuesday

前ページ終わりまでの残り時間を測る発想

<

1

2

3

>

別れのスイッチは静かに入る

別れのスイッチは静かに入る
別れのスイッチは静かに入る / Credit:Canva

もし恋の終わりにパターンがあるとしたら、それはどんなものなのでしょうか?

研究ではドイツ、オーストラリア、イギリス、オランダの4か国で実施された大規模縦断調査のデータが分析されました。

計15,000人以上の「破局を経験した参加者」のデータが含まれ、同程度の特徴を持ちながら関係が継続している人々(コントロール群)と比較する形がとられました。

分析にあたっては、年齢や性格、収入、学歴、交際年数などの影響を統計的手法(傾向スコアマッチング)でできる限り排除し、「別れという出来事そのもの」が満足度変化に与える影響を浮き彫りにしています。

特に重視されたのが「別れまでの残り時間(time-to-separation)」と満足度の関係です。

従来の「交際開始からの経過時間」ではなく、「別れに向かうタイミング」に着目することで、新たなパターンが見えてきました。

その結果、恋愛満足度には二段階の低下パターンがあることが確認されました。

まずプレ終末期(preterminal phase)とも言える段階では、満足度のゆるやかな減少が数年かけて進みます。

しかし次に訪れる「ターミナル期(terminal phase)」では、満足度が急激に下降し始めます。

この急落は、多くの場合、別れの約1〜2年前から始まることが分かりました。

データセットによって差はあるものの、急落の開始時期は別れの約7ヶ月前(0.58年)から約2年4ヶ月前(2.30年)の範囲に収まっていたと報告されています。

つまり、多くのカップルでは表面上別れを決断するずっと以前から……場合によっては2年以上前から関係の綻びが進行しているのです。

この二段階低下パターンは破局に至ったカップル特有であり、人生全体の幸福度では恋愛満足度ほど明確な低下が見られませんでした。

つまり、今回の急激な低下現象は恋愛関係に特有の現象と考えられます。

さらに興味深い結果として、カップルの中でも「別れを切り出す側」と「告げられる側」とで満足度低下のタイミングに差があることが判明しました。

言わば心の「タイムラグ」です。

研究データの一つによれば、自ら別れを決意する側(イニシエーター)は別れる1年以上も前から徐々に不満が高まり始めていました。

一方、別れを告げられる側(レシーバー)は、別れの約2ヶ月前になってようやく満足度の急低下が見られるケースが多かったのです。

しかしいったん低下し始めると、その落ち込み方は切り出す側よりも急激で大きなものになる傾向も示されています。

この違いは、「心が離れ始めるタイミング」においてパートナー間でズレが生じることをデータが裏付けたものと言えるでしょう。

まさに「切り出す側と切り出される側の心のタイムラグ」が数字の上でも確認された形です。

他にも、年齢や婚姻状況などが満足度低下パターンに及ぼす影響も検討されました。

例えば一部のデータでは「結婚している方が急激な低下が緩やかになる」といった傾向が見られた一方、別のデータでは逆に「結婚している方が急落が大きい」と出るなど、結果はまちまちでした。

性別や過去の恋愛経験についても、全体として一貫した差は確認されていません。

このように個人属性による違いは多少あるものの、満足度低下がプレ終末期と終末期の二段階をたどるという大局的なパターンは、いずれのデータでも一貫して観察されたのです。

なお、過去の関連研究では「カップルは関係満足度が最大値の約65%程度まで低下すると別れを選ぶ傾向がある」とも報告されています(0〜10の満足度尺度で6.5)。

もちろん、この数値は統計上の目安ですが、満足度低下がどの程度進むと取り返しがつかなくなるのかを示す興味深い指標と言えるでしょう。

次ページ今すぐできる破局リスク回避

<

1

2

3

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

心理学のニュースpsychology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!