大卒の夜型は認知機能の低下が速まる?
人には「クロノタイプ」と呼ばれる、体内時計に基づいた睡眠・活動の傾向があります。
朝早くから元気な“朝型”もいれば、夜遅くに覚醒する“夜型”もいます。これらは遺伝的要因も大きく、生まれつきの体質に近いものです。
今回の研究では、オランダ北部に住む40歳以上の約2万4000人を対象に、睡眠習慣と認知機能(非言語的な流暢性や実行機能)との関連を10年間にわたり追跡しました。
そしてデータ分析の結果、夜型の傾向が強い人ほど、認知機能が低下するスピードが速いことが明らかになったのです。

さらに注目すべきは「高学歴(大学レベル以上)」の参加者にこの傾向が顕著に表れていたことでした。
反対に、義務教育レベルまでを修了した人々では、たとえ夜型であっても、認知機能の低下スピードが速まることはなかったのです。
では、なぜ高学歴者に限ってこの影響が強く出てしまったのでしょうか?
研究者はその理由の一つとして「社会的時差(ソーシャル・ジェットラグ)」を指摘しています。
夜型の人は本来、朝ゆっくり起きて夜に活動するリズムを持っています。
しかし高学歴者の多くはオフィス勤務など朝早く出勤しなければならない仕事に就いており、自分の体内時計と社会のリズムがズレたまま生活することを強いられているケースが多いのです。
このズレによって十分な睡眠がとれず、脳が回復する機会を失い、長期的には認知機能に悪影響を及ぼす可能性があると考えられています。