「治りにくい副鼻腔炎」のために、鼻の中に送り込める超小型マイクロボットを開発!
副鼻腔炎、特に「慢性副鼻腔炎(ちくのう症)」は、鼻の奥にある副鼻腔が長期間にわたって炎症を起こす病気です。
粘り気の強い鼻水、頭痛、顔の痛み、嗅覚障害など多くの不快な症状があり、日常生活の質を大きく下げてしまいます。
この病気が厄介なのは、原因のひとつに「バイオフィルム」と呼ばれる構造が関係しているからです。
バイオフィルムとは、細菌が集まって粘着質の膜を作り、薬や免疫系から身を守る“要塞”のようなもの。
この膜が副鼻腔の中に形成されると、抗生物質も届かず、洗浄や外科手術でも除去しきれないことが多いのです。

そこで登場するのが、香港中文大学の研究チームが開発した「光触媒マイクロボット(CBMR)」です。
このマイクロボットは、ビスマス、酸素、ヨウ素の混合物と、銅の原子1個から作られた微小粒子で、1粒が「ほこり程度」の極小サイズです。
外部から磁気によって誘導でき、X線透視でリアルタイムに位置を追跡できます。

さらに、細い光ファイバーを通じて照射される可視光によって起動し、働き始めるのです。
つまり、このロボットは「磁石で鼻の奥の病巣に誘導され、可視光でスイッチが入る」という仕組みで、副鼻腔の奥深くまでアプローチできるようになっています。
では、実際にどのように副鼻腔炎を治療するのでしょうか。