画像
マイクロボットを鼻の奥に送り込み、蓄膿症を撃退する / Credit:Canva
robot

【治りにくい蓄膿症にどう対処?】鼻の奥にマイクロボットを送り込んで細菌を殲滅する新手法

2025.07.01 11:30:09 Tuesday

私たちの体内に簡単に潜り込めるマイクロボットが、新しい治療法の扉を開こうとしています。

慢性的な副鼻腔炎に悩まされてきた人々に、革新的な治療の希望が現れました。

香港中文大学(CUHK)を中心とした研究チームは、光と磁力で制御されるマイクロボットを使って、副鼻腔内の細菌を効率的に除去する新技術を開発したのです。

この成果は、2025年6月25日付で『Science Robotics』誌に掲載されました。

Swarms of tiny ‘nose robots’ clear out sinuses https://newatlas.com/medical-devices/nose-robots-sinuses/ CUHK develops groundbreaking microrobot therapy to combat persistent sinus infections https://www.cpr.cuhk.edu.hk/en/press/cuhk-develops-groundbreaking-microrobot-therapy-to-combat-persistent-sinus-infections/
Photocatalytic microrobots for treating bacterial infections deep within sinuses https://doi.org/10.1126/scirobotics.adt0720

「治りにくい副鼻腔炎」のために、鼻の中に送り込める超小型マイクロボットを開発!

副鼻腔炎、特に「慢性副鼻腔炎(ちくのう症)」は、鼻の奥にある副鼻腔が長期間にわたって炎症を起こす病気です。

粘り気の強い鼻水、頭痛、顔の痛み、嗅覚障害など多くの不快な症状があり、日常生活の質を大きく下げてしまいます。

この病気が厄介なのは、原因のひとつに「バイオフィルム」と呼ばれる構造が関係しているからです。

バイオフィルムとは、細が集まって粘着質の膜を作り、薬や免疫系から身を守る“要塞”のようなもの。

この膜が副鼻腔の中に形成されると、抗生物質も届かず、洗浄や外科手術でも除去しきれないことが多いのです。

画像
副鼻腔炎を治療するマイクロボット / Credit:CUHK

そこで登場するのが、香港中文大学の研究チームが開発した「触媒マイクロボット(CBMR)」です。

このマイクロボットは、ビスマス、酸素、ヨウ素の混合物と、銅の原子1個から作られた微小粒子で、1粒が「ほこり程度」の極小サイズです。

外部から磁気によって誘導でき、X線透視でリアルタイムに位置を追跡できます。

画像
磁気と光で誘導&起動できる / Credit:CUHK

さらに、細い光ファイバーを通じて照射される可視光によって起動し、働き始めるのです。

つまり、このロボットは「磁石で鼻の奥の病巣に誘導され、可視光でスイッチが入る」という仕組みで、副鼻腔の奥深くまでアプローチできるようになっています。

では、実際にどのように副鼻腔炎を治療するのでしょうか。

次ページマイクロボットが副鼻腔炎を治療!実験では細菌濃度が90%から1%へ

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

ロボットのニュースrobot news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!