ヘビはどうやって骨を処理していたのか?
私たち人間を含む多くの動物は、食べ物の「おいしい部分」だけを食べます。
魚なら身だけ、鳥なら肉だけ。硬くて消化しにくい骨は残したり、排出したりします。
ところがヘビは違います。
特に大型のニシキヘビの仲間は、獲物を頭から丸ごと飲み込んでしまいます。毛も骨も内臓も、すべて一気に体の中へ。
それだけでも驚きですが、もっとすごいのはその後です。
ヘビのうんちには、骨のカケラがほぼまったく出てこないのです。
なぜそんなことが可能なのでしょうか?
これまで研究者たちは、胃酸が強いのか、腸の消化液が特別なのかと考えてきました。
しかし決定的な理由は長年わからず、謎のままでした。
そして今回、ついにその謎を解くカギとなる新しい細胞タイプが発見されました。
発見したのは、モンペリエ大学の生物学研究チームです。
彼らはビルマニシキヘビの腸を詳しく調べた結果、これまで知られていなかった「球状粒子(スフェロイド)」を作る特殊な細胞を見つけたのです。

この細胞は、腸の内側にある「エンテロサイト(吸収細胞)」とは別のタイプで、内部に小さなくぼみ(クリプト)を持ち、その中でカルシウムやリン、鉄を含む粒子を作り出す構造になっていました。
まるで、体に入りすぎたミネラルを安全にまとめて処理する“袋”のような働きをしていたのです。