平常時は「分厚くて温かく」、汗をかくと「薄くて涼しく」なる新ジャケット

冬の外出や作業では、動き始めると体が温まって汗をかき、ジャケットの中が蒸れてしまうことがあります。
一般的な防寒着は厚みや空気層が一定のため、体側の環境(温度・湿度)の変化に合わせて性能を変えることができません。
結果として、動くと暑すぎるのに脱ぐと寒いというジレンマが生まれます。
この問題を解く鍵として研究チームが使ったのは「汗=湿度の上昇」というメカニズムです。
汗は身体が熱を逃がしたいというサインなので、これを直接トリガーにすれば、服の側から自動的に“厚い⇄薄い”を切り替えられると考えました。
新しいジャケットの中綿は、2枚の薄いシートを重ねた作りになっています。

汗をよく吸って変形する特殊なシートと、丈夫なプラスチック「PET」のシートをくっつけています。
これにより、乾いているときは内部のシートが反った状態にあり、ジャケット全体がふくらんで空気をたくさんためるので、あたたかくなります。
そして汗などで湿ってくると、内部のシートが水分を吸ってまっすぐな状態に戻り、ジャケット生地全体がが平らになって薄くなります。
そのぶん、体の熱が外へ逃げやすくなります。
ふつうの材料は「ぬれるともっと曲がる」ものが多いのですが、このシートの材料は「ぬれると平らになる」ように作られているのがポイントです。
では、この新しいジャケットにはどれほどの断熱・放熱効果があるのでしょうか。