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汗をかくと自動で薄く、涼しくなるジャケット / Credit:Xiaofeng Jiang(NUAA)et al., Science Advances(2025)
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汗をかくと自動で「薄く」「涼しく」なるジャケットを開発【体温調節能力82.8%向上】

2025.08.18 11:30:51 Monday

汗をかくような時には薄くて涼しく、そうでないときは分厚くて暖かい、そんな欲張りなジャケットが開発されました。

中国の南京航空航天大学(NUAA)の研究チームは、発汗で上昇する湿度に自動で反応して、中綿の厚みそのものが切り替わる新しい防寒衣料を報告しました。

電源も機械部品も使わない受動的な仕組みで、乾燥時はふくらんで断熱し、湿潤時はぺたんと薄くなって放熱します。

この成果は2025年8月13日付の学術誌『Science Advances』に掲載されました。

Sweat-sensitive jacket adjusts its thickness to keep you comfortable when it’s cold https://techxplore.com/news/2025-08-sensitive-jacket-adjusts-thickness-comfortable.html Sweat-activated winter jacket boosts thermal regulation by 82.8% in tests https://interestingengineering.com/innovation/sweat-activated-winter-jacket
Sweat-sensitive adaptive warm clothing https://doi.org/10.1126/sciadv.adu3472

平常時は「分厚くて温かく」、汗をかくと「薄くて涼しく」なる新ジャケット

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ジャケットは温かいが、動き始めると逆に暑すぎる / Credit:Canva

冬の外出や作業では、動き始めると体が温まって汗をかき、ジャケットの中が蒸れてしまうことがあります。

一般的な防寒着は厚みや空気層が一定のため、体側の環境(温度・湿度)の変化に合わせて性能を変えることができません。

結果として、動くと暑すぎるのに脱ぐと寒いというジレンマが生まれます。

この問題を解く鍵として研究チームが使ったのは「汗=湿度の上昇」というメカニズムです。

汗は身体が熱を逃がしたいというサインなので、これを直接トリガーにすれば、服の側から自動的に“厚い⇄薄い”を切り替えられると考えました。

新しいジャケットの中綿は、2枚の薄いシートを重ねた作りになっています。

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汗による湿度でジャケットの分厚さが変化する / Credit:Xiaofeng Jiang(NUAA)et al., Science Advances(2025)

汗をよく吸って変形する特殊なシートと、丈夫なプラスチック「PET」のシートをくっつけています。

これにより、乾いているときは内部のシートが反った状態にあり、ジャケット全体がふくらんで空気をたくさんためるので、あたたかくなります

そして汗などで湿ってくると、内部のシートが分を吸ってまっすぐな状態に戻り、ジャケット生地全体がが平らになって薄くなります。

そのぶん、体の熱が外へ逃げやすくなります。

ふつうの材料は「ぬれるともっと曲がる」ものが多いのですが、このシートの材料は「ぬれると平らになる」ように作られているのがポイントです。

では、この新しいジャケットにはどれほどの断熱・放熱効果があるのでしょうか。

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