対面での出会い回帰と、Z世代の新しい「つながり」
こうした「アプリ疲れ」の反動から、いま欧米を中心に“対面での出会い”が見直され始めています。
ランニングクラブやボードゲームカフェ、スピードデーティング、昼間のイベントなど、リアルな場で偶然の出会いを楽しむ活動が再び人気を集めているのです。
マッチングアプリ大手の「Hinge(ヒンジ)」も、実際に会うきっかけ作りをサポートする社会的活動をスタート。こうした動きは、「顔を合わせて話すことに不安を抱えるZ世代」を意識したものです。
極度にデジタル化された環境では、逆に“リアルな会話”が新鮮に感じられるという現象も見られます。
ただし、対面での出会いが「楽」かというと、決してそうではありません。
コロナパンデミックの影響で思春期を過ごした世代は、「人と話す」「恋愛を始める」というごく基本的なコミュニケーション経験そのものが乏しいまま成人になった人も多いのです。
さらに、Z世代の恋愛観には「傷つくのが怖い」「ゴースティング(突然連絡を絶たれる)されたくない」「浮気や裏切りが不安」といった“慎重さ”も色濃く反映されています。

とはいえ、対面の恋愛もハードルが高いのは事実。
「内向的だから」「会話に自信がないから」と悩む若者も多いですが、カウンセラーは「自信は少しずつつけていけるもの」とアドバイスしています。
Z世代がマッチングアプリに「疲れた」と感じている背景には、デジタル化によるコミュニケーションの変化、孤独感の増加、そして「自分らしいつながり」を求める価値観の変化があります。
今後は「マッチングアプリ=当たり前」ではなく、「対面の出会い」や「友達コミュニティ」「趣味の集まり」など、多様な“つながり方”が広がっていくでしょう。