「働き手」の多様性とコロニー社会の複雑さ
この自動追跡の成果は、「働き手たち」の行動が一人ひとり安定して“役割型”に分かれているだけでなく、コロニー全体の“社会的なネットワーク”が驚くほど緻密で多層的であることも示しました。
例えば、誰と誰が同じタイミングで活動・休息しているか、誰と誰が同じ部屋にいることが多いか、あるいは誰が誰をよく追いかけるか――こうした“社会的つながり”もすべてデータ化。
分析の結果、女王や繁殖雄たちは非常に強くお互いに結びつき、同じ部屋・同じリズムで過ごす傾向があることが判明。
一方、働き手同士では「よく一緒にいるペア」や「ほとんど交流しないペア」があり、行動型によってもその結びつきに違いが現れていました。

また、「巣の引っ越し」などコロニー全体での大きなイベントの際にも、ある個体がリーダーシップをとることが多いことや、体の大きい非繁殖雄が特定の役割型に偏りやすいことなど、個体属性と役割の関係性も浮き彫りとなりました。
注目すべきは、「トイレ掃除係」や「ゴミ係」が臨時のものではなく、個体ごとに1カ月以上安定して同じ役割型を維持していた点です。
これは哺乳類ではきわめて珍しい特徴で、社会性昆虫の「カースト」に近い高度な役割分化が哺乳類でも成立していることを意味します。
さらに「誰が誰をよく追いかけるか」という追従ネットワークからは、女王個体がコロニー内で最も積極的に他個体を追いかける一方、他の個体から追いかけられることは少ないという「階層構造」も明らかになりました。
こうした役割と階層性の組み合わせが、コロニーの効率的な維持や安定した繁殖、集団行動の同期性につながっていると考えられます。



























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階層や役割の固定で集団が維持されている。個体がそれに疑問をもたなければ、いつまでも機能する、優れたシステムなんですね、やっぱり。
女王の寿命が30年を超える動物で、1か月の観察では瞬間の断面を見てるかのように感じます。
外勤と内勤のあるアリやハチと異なり、内勤だけでもワーカーに複数の形態と形態に応じた役割がある社会性アブラムシとでもなく、シロアリと比べることで特質が浮かび上がりそうです。
役割を、女王が物質的に方向づけているのか、生まれ順や生まれてからの年齢で順繰りに役割が変わるのか知りたいです。シロアリのように本能に基づくプログラムされた行動を主体とする昆虫と違って、ハダカデバネズミは学習で獲得した行動もとれますので、その違いが専門性のやや低さに出そうに思えます。
また、損得の合理性で見ると、フンを扱えば感染や寄生のリスクは高まりそうなので、構成員でかわるがわるやるよりも、係りを作ったほうが、リスクをヘッジできそうに思えます
ネズミの世界でも底辺ワーカーっているんだね。