思想の左右ではなく極端さが脳を似せる

私たちは普段、「極右」と「極左」の人々はまったく正反対の人種だと考えています。
まさに水と油、絶対に交わらない人たちだという印象ですよね。
でも今回の研究は、その当たり前の考えを根底から揺さぶるような、非常に興味深い発見をしました。
この研究が示したのは、極端な考え方を持つ人たちは、「意見が真逆であっても感じ方や反応パターンが似ている」という意外な現象があるかもしれないということを示唆しています。
今回の研究結果は、この考えを脳の働きという科学的な観点から新しい証拠として示しました。
たとえば、激しい政治的メッセージを聞いたとき、極右も極左も、脳の中では似たようなスイッチが入っていました。
つまり意見の違いの「外見」を取り払えば、内面では感情を掻き立てられた脳同士が驚くほど同じように反応している、というわけです。
とはいえ、この研究の結果をそのまま全ての状況に当てはめるには、いくつか慎重になるべき限界があります。
調査の対象はアメリカの成人だけで、ほかの国や文化圏の人が同じように反応するかどうかは、まだわからないのです。
あくまで、「脳が似た反応を示している」という関連性を示しただけで、その理由や原因は今後さらに掘り下げる必要があるのです。
それでも、この研究が示した結果は社会にとって非常に重要な意味を持っています。
現代社会では、政治的な意見の違いが深刻な分断を生むことが少なくありません。
しかし、この結果を踏まえると、「意見が違っても、感情的に反応する脳の仕組みは同じだ」と気づくことによって、互いを理解しようとするきっかけが生まれるかもしれません。
研究者たちも、この脳の仕組みをさらに詳しく理解することで、将来的に対立を和らげる手がかりを掴める可能性があると考えています。
最後に筆者の見解を述べるならば、極端な思想を持つ人同士というのは、同じ炎に引き寄せられる蛾のようなものではないかと思っています。
ただしその炎というのは、皮肉なことに、お互いを煽ってしまうような「過激な言葉」なのです。