まとめ:『電気生態学』は電気と生物進化の関係を考える新しい分野

「今回の研究が教えてくれた最も大事なポイントは、自然界にいるわずか0.4ミリの小さな寄生虫の運命が、目に見えない静電気の影響で大きく変わるという驚くべき事実です。
これまでの研究では、線虫がジャンプをすること自体は知られていましたが、『ジャンプでどうやって獲物に当てているのか』は謎でした。
それもそのはず、普通に考えれば、小さな虫が空中を飛び回る獲物にうまく命中するなんて至難の業だからです。
しかし今回、研究者たちはそこに意外な仕組みを発見したのです。
線虫のジャンプ成功の秘訣は、なんと私たちが日常生活で不快に感じることが多い『静電気』にありました。
線虫は進化の過程で、周囲の環境に当たり前に存在している静電気をうまく利用する「特殊能力」を身につけていた可能性が明らかになったわけです。
イメージとしては、まるで線虫が電気を使った「見えない追尾装置」を手に入れたようなものです。
ジャンプをした線虫は、自分自身に帯びた静電気のおかげで空中にいる獲物の昆虫にピタリと引き寄せられます。
その結果、命中率が驚くほどアップし、わずかな電気の差が生死を分ける結果につながっているのです。
もちろん、この研究結果だけで全ての謎が解決したわけではありません。
実際の自然環境はもっと複雑で、この仕組みが野外でも同じように機能するかどうか、さらなる調査が必要でしょう。
また、静電気を帯びる具体的なメカニズムとして、今回示された『静電誘導』だけでなく、生き物自身が静電気を積極的に発生させている可能性や、ほかの未知のメカニズムが存在する可能性も十分あります。
とはいえ、今回の発見が持つ価値は非常に大きいのです。
これまでの生物学や生態学ではあまり注目されなかった『静電気』という物理的な要素が、生き物の進化や行動に大きな影響を与えていることがはっきりと示されました。
生物と電気の関係を探るこの新しい研究分野を『電気生態学』と呼びますが、この分野の研究は今、ようやく本格的に動き始めたところなのです。
研究を率いたRan氏は、「私たちは『電気生態学』という新しい分野を切り拓き、ほかの小さな生き物たちが静電気をどれだけ活用しているのかをさらに明らかにしていきたい」と熱く語っています。

























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人間が日常的に扱う物のスケールで応用するのはちょっと難しそうですけど、案外宇宙とかでは同じようなこと起きてるかも知れないですね。
線虫の学名確認したら読みはスタイナーネマ カーポカプサエが使われているようです。
生物農薬としても使われているらしくこの名前がヒットしますね。
(態々カタカナにして記載するのならば裏付けを取るくらいすべきでしょう)
地面にいる線虫がマイナスに帯電するのはおかしいな。アース、接地しているのだから。もしマイナスに帯電したら地面にくっついて離れられない。風の影響は多分に風向きに左右されるでしょう。羽ばたくとなぜプラスに帯電するのかも説明がほしい。
土壌は全体としてマイナスに帯電してるよ。
「電気生物学」に反応しました。
短い距離では重力よりもはるかに強い力となりますし、点電荷なら電位勾配を辿ることでセンシングができそうです。
粉食昆虫が花粉を効率的に集めたり運んだりする仕組み、材食昆虫が木くずまみれにならない仕組み、(化学勾配に頼らず)交尾や寄生捕食でターゲット部位をさぐり当てる仕組み、体毛の毛深い昆虫の体毛の役割、飛行機の放電菅に相当する器官の有無、ドジョウやカモノハシがやっているような電気探査を昆虫がしてるかどうか、オスの受け入れの有無に電気信号を使う動物がいるか、昆虫の体毛などに外部寄生する動物の接着力に貢献しているかどうか、夢は広がります。
記事の実験はホバリングしているターゲットでしたが、飛行している場合、線虫は「跳ぶ姿勢」を作るのが間に合うのかとか、電荷が異動する際の線虫からみた電場の変動パターンがどうなるか気になります
これって北大チームが線虫がハチに静電気を使って飛び移るって発見があったけど、それのハエ版なのかしら。
結構重要な発見ではあるんだけど、線虫の被害に遭っているジャガイモの生産現場じゃちっとも知られていないのよね。
まぁ、農地の静電気をどうするんだ、って問題の解決は不可能に近いんだろうしね。