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※ 画像はイメージです/ Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
history archeology

6000年前の「チューイングガム」を発見!男女で噛むガムが違っていた

2025.10.21 17:00:38 Tuesday

現代の私たちがストレス発散やリフレッシュのためにチューイングガムを噛むように、昔の人々も、手作りの「ガム」を口に入れて噛んでいました。

そして今回、デンマーク・コペンハーゲン大学(UC)の最新研究で、約6000年前に人類が噛んでいたチューイングガムが新たに発見されました。

さらに、噛まれたガムに残されたDNA解析から、“誰がどんなガムを噛んでいたのか”という新たな社会の一面までもが見えてきたようです。

研究の詳細は2025年10月15日付で科学雑誌『Proceedings of the Royal Society B』に掲載されています。

6,000-Year-Old Chewing Gum Reveals Clues on Neolithic Gender Roles https://www.sciencealert.com/6000-year-old-chewing-gum-reveals-clues-on-neolithic-gender-roles
Ancient DNA and biomarkers from artefacts: insights into technology and cultural practices in Neolithic Europe https://doi.org/10.1098/rspb.2025.0092

チューイングガムの正体は「白樺タール」

今回の発見は、ヨーロッパ・アルプス地方の新石器時代遺跡から出土した30点の「白樺タール(カバノキ樹皮タール)」に対する最新の有機化学分析と古代DNA解析に基づいています。

白樺タールは、樹皮を乾留して作る粘着性のある黒い物質で、石器の柄付けや土器の修理、さらには装飾品や薬用、そして作業中に噛むための「ガム」として噛むといった、実に多様な用途に使われていました。

特に今回調査された12点のタール片には、はっきりと「歯型」が残されており、人が噛んだことが物理的にも確認されています。

【こちらはアルプス周辺で発見されたガムの画像

なぜ人類はタールを噛んだのでしょうか?

一つには、タールに天然の抗菌成分が含まれていることから、口内の健康や歯磨き代わり、あるいは薬用として噛まれていた可能性が挙げられます。

また、冷えて固くなったタールを噛むことで柔らかくし、接着剤として使いやすくする目的もあったと考えられます。

ただし、唾液が混じると接着力が一時的に落ちるため、実際に接着に使う前には再加熱が必要だったようです。

化学分析の結果、ほとんどのサンプルから白樺タール由来の有機化合物が検出され、一部からは松脂(マツ科樹脂)が混合されていることもわかりました。

これは接着剤としての性能を高めるため、古代人が工夫していた証拠です。

さらに驚くべきは、これらのガム片から“噛んだ人の口腔内マイクロバイオーム(口内細菌群)”や、“食事に由来する植物や動物のDNA”までもが良好な状態で保存されていたことです。

例えば、アマ(亜麻)、エンドウマメ、ケシ、ハシバミ、オオムギ、コムギなど、多様な栽培植物のDNAが発見され、当時の人々が何を食べ、どんなものを生活に取り入れていたのかが直接分かる“タイムカプセル”になっていました。

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