「耳」の役割を疑う研究者たちの挑戦

昆虫が音を聞くという話は、もしかすると意外に思うかもしれません。
しかし、多くの昆虫はちゃんと音を感じ取っていて、そのための器官を持っています。
これを専門用語では「鼓膜器官(こまくきかん)」と言いますが、昆虫の場合、その鼓膜の位置が人間とはずいぶん異なります。
例えば、コオロギやキリギリスは脚に耳があります。
彼らの「耳」は前脚の脛(すね)の部分にあり、これで仲間の鳴き声や周囲の音を聞き分けています。
他にも、夜に飛ぶガの仲間は胸の横に、草むらで飛び跳ねるバッタの仲間は腹部に鼓膜器官を持っています。
つまり昆虫の耳は種類ごとにあちこちに進化しており、実に多様な場所に存在するのです。
さて、ここで話はカメムシに移ります。
カメムシといえば植物に付く嫌な虫という印象がありますが、彼らの一部にも鼓膜器官を持つ種がいると以前から報告されてきました。
その一つがノコギリカメムシというグループです。
この仲間では、メスの成虫の後ろ脚の一部分が平たく変形していて、そこが鼓膜器官ではないかと推測されてきました。
ですが、不思議なことに、この特徴的な器官を持つのはなぜかメスだけで、オスには見られません。
通常、音を感じ取る器官はオスもメスも持っていることが多いのですが、このノコギリカメムシのメスにだけ見られる特別な器官は、一体何のためにあるのでしょうか。
研究者の間では、「メスがオスの出す求愛の音や振動を後脚で聞き取るための仕組みではないか」という考えもありました。
しかしノコギリカメムシのオスはセミのように大声で鳴くわけでも、コオロギのように羽根を震わせて音を立てることもありません。
もし音を使ったコミュニケーションがないのなら、このメスの脚にある「耳のような器官」は、本当に音を聞くために存在するのでしょうか。
実際のところ、これまではこの謎に本格的に取り組む研究者はほとんどいませんでした。
ノコギリカメムシ自体があまり目立たない昆虫グループであるため、世界中に昆虫の研究者や愛好家はたくさんいますが、わざわざノコギリカメムシのメスの脚の謎の器官を詳しく調べようと考える人はいなかったのです。
しかし最近になって、日本の産業技術総合研究所(AIST)と筑波大学などの共同研究チームが、この小さな謎に本気で挑戦しました。
彼らが注目したのは、このカメムシの卵に見られる奇妙な現象でした。
ノコギリカメムシのメスは植物の葉の裏にたくさんの卵を産みます。
ところが、産卵後数日たつと、卵が白い綿毛のようなものに覆われてしまうのです。
まるでカビが生えたように真っ白になりますが、これは一体何なのか、そして何か意味があるのか、まったく分かっていませんでした。
研究者たちは、メスの後ろ脚にある「耳のような器官」と、この卵を包む白い物質が関係しているのではないかと考え、詳しく調べ始めたのです。
この謎の器官と卵の白い綿毛の正体は、どのような関係で結ばれているのでしょうか。
























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