10分の飛行で「宇宙は誰のものか」が変わる
打ち上げは米テキサス州の発射場から行われ、再使用型の準軌道ロケット「ニューシェパード(New Shepard)」が用いられました。
ベントハウスさんと5人の同乗者は上昇し、宇宙の境界線として知られるカーマン・ラインのすぐ上まで到達しました。
飛行中には数分間の微小重力も体験しています。
着陸後、ベントハウスさんは「最高にクールな体験でした」と笑顔で語りました。
景色や微小重力だけでなく、上昇する過程そのものが楽しかったとも述べています。
別のコメントでは、上昇中ずっと笑っていたことや、宇宙で逆さまになろうとしたことも明かしています。
実際の動画はこちら。音量に注意してご視聴ください。
今回の飛行で注目すべきは、特別な「大改造」ではなく、比較的小さな工夫の積み重ねで実現した点です。
ブルーオリジンは、ベントハウスさんがカプセルに乗り降りしやすいよう地上支援設備を追加し、移乗を助ける器具や手順を整えました。
ハッチから伸びるベンチを使い、彼女は車いすからカプセルへ自力で移動しています。
着陸後には地上で車いすにすぐアクセスできるよう配慮もされたといいます。
必要時に備えて、ケーニヒスマン氏は近くに座り、支援役として同行しました。
ベントハウスさん自身は「事故後、障害のある人にとって世界がまだどれほど利用しにくいかを本当に思い知らされた」と語っています。
だからこそ目標は、障害のある人に宇宙を開くだけでなく、地上のアクセシビリティも改善することだとしています。
ブルーオリジン側も「宇宙は誰にでも開かれていることを示す意味の大きい飛行だ」と述べ、今回のフライトを象徴的な出来事として位置づけています。
宇宙飛行は、健康な人でも簡単ではありません。競争は激しく、機会は限られています。
その世界で「車いす利用者が宇宙へ行った」という事実は、単なる快挙以上の意味を持ちます。
宇宙は、遠くて特別な場所に見えます。
しかし今回の出来事が示したのは、宇宙へ向かう道を広げるための鍵が、意外なほど地に足のついた工夫と設計にあるということです。
「夢を諦めないでください」と語ったベントハウスさんの言葉は、宇宙を目指す人だけでなく、日常のどこかで不便さに直面している人にも響くはずです。


























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