古い記録を掘り起こしDNAも分析

まず研究者たちは、2024年5月16日にBを水槽から取り出し、生きたまま長さを測り、写真を撮りました。
体をめいっぱい伸ばすと、およそ1メートルほどの長さがあり、机の上でメジャーと並べた写真が論文の図として掲載されています。写真は2025年2月に撮影されたものです。
そのあと、体のいちばん後ろ側からごく一部だけ組織を切り取り、エタノールに保存して研究所に送り、DNAを取り出し分析を行いました。
その結果、この個体は、Baseodiscus punnetti という種として以前報告されていた個体と、COI(DNA識別用バーコード)配列が99パーセント以上一致していることがわかりました。
もともと丸い頭部の形や目の並びなどの特徴も「Baseodiscusの仲間だろう」と考えられていましたが、遺伝子レベルでも明らかになったのです。
では、肝心の「年齢」はどう数えたのでしょうか。
ここで登場するのが、人間側の記録です。
論文によると、このヒモムシは1996年から1998年のあいだにワシントン大学のフライデーハーバー研究所の近くで採集され、1998年までにはノースカロライナ大学チャペルヒル校の海水水槽に移されていました。
その水槽が2005年に撤去されるとき、研究者の一人が砂の中からヒモムシとその餌になりそうな他の無脊椎動物を掘り出し、メイン州の新しい水槽にまとめて移しました。
その後、水槽ごとバージニア州の研究室へ再び引っ越しし、Bは授業で毎年取り出されては学生に見せられる生活を続けてきました。
2025年2月の時点でも生存が確認されていたため、「少なくとも26年」という既知の年齢が確定した、というわけです。
この1匹の記録は、ヒモムシ全体の中でどれくらい特別なのでしょうか。
研究チームは、過去の報告をあらためて調べ、確実に年齢が分かっている個体の中で一番長いものでも「3年を超える例は見つからなかった」と書いています。
ですから、Bの「26年以上」という数字は、単純に比べておよそ9倍で、論文では「この門の既知の最大寿命を桁違いに伸ばした」と表現しています。
しかもこの値は、採集された時点ですでに成体だった可能性を考えると、「本当はもっと高いかもしれないが、あえて控えめに見積もったもの」だと説明されています。
たとえるなら、「海の底で地味に暮らしていると思われていた生き物が、実は何十年も同じ場所で“食べ続ける存在”かもしれない」というのは大きな驚きです。
海の無脊椎動物にはもともと300年以上生きると推定されるチューブワームや500年以上生きる二枚貝が知られており、ヒモムシもその“長寿クラブ”側に近いと分かれば、長寿の仕組みを探る上での比較材料が一つ増えることになります。
研究者の一人であるクロエ・グッドセル氏は、こうした長寿動物の研究が、将来、人間を含む動物の老化の理解につながるかもしれないと期待を述べています。

























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