視覚は2ルートのはずだった

科学の教科書では長らく、人間の視覚には2つの経路が基本モデルとして説明されてきました。
一つは、物体が「何であるか」を見分けるルートです。
もう一つは、物体が「どこにありどう動くか」を扱うルートです。
この二重の視覚モデルは視覚脳研究の基本となり、実際に脳損傷の症例でも「物は認識できるが位置がわからない」患者とその逆の患者が報告され、2経路の存在が支持されてきました。
しかし視覚情報は本当にこの2経路のみが全てを担当しているのでしょうか。
たとえば教室に入った瞬間、友達の表情やしぐさから「今話しかけても大丈夫かな?」と察した経験は誰にでもあるでしょう。
このような視覚から「人の意図や感情(気持ち)」を読み取る能力――いわゆる「空気を読む力」は誰もが知るところです。
ここで重要なのは、空気を読むとき私たちが見ているのが、顔の“形”そのものというより、顔がどう変わっていくか、つまり表情の変化や視線の動きといった「流れ」だという点です。
物体が「何であるか」、「どこにありどう動くか」という既存の2経路だけで、この「流れ」から人の心の状態を推測するのは、少し無理のある話に見えてきます。
今から40年ほど前に行われた古い研究でも、そのヒントとなる現象が記録されています。
脳の損傷で顔が誰だかわからなくなる「相貌失認(顔盲)」の患者において、知人と他人の顔写真では皮膚電気反応(汗などに伴う反応)が違って出るという不思議な現象が報告されたのです。
本人は視覚的にそれが誰か意識できなくても、体は何かを感じ取って反応していました。
この事実は、顔を「誰か」として見分ける通常ルートとは別に、顔から“社会的な意味”を受け取るルートがあるのではないか、と当時の研究者に推測させました。
そこで近年の研究では「人間の視覚に他人の意図を読み解く第3の経路があるのではないか」という仮説を、より直接的な形で検証することにしました。
もしそのような経路が本当に存在するなら、そこが壊れた人では、写真の表情は読めても、空気感を左右するような“動きのある表情の変化”が読み取りにくくなるかもしれません。

























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