就労者約4000人の「総労働時間」は女性の方が長い
現代の中年世代は、賃金が支払われる仕事だけでなく、家事や育児、介護といった無償のケア労働にも多くの時間を費やしています。
特に共働き世帯が増加している日本では、やるべきことに追われて休む時間を十分に確保できない、いわゆる「時間貧困」の状態に陥りやすくなっています。
しかし、これまでの研究の多くは、健康への影響を検討する際に有償労働時間のみに注目してきました。
そのため、家事や育児といった無償労働に費やされる時間が、どのように健康と関係しているのかは十分に検討されてきませんでした。
そこで本研究では、有償労働と無償労働を合算した「総労働時間」こそが、実際の時間的負担をより正確に捉える指標になるのではないかという視点が採用されました。
研究チームは、40歳から64歳までの就労者3959人を対象に、アンケート調査を実施しました。
対象者は定期的に医療機関へ通院していない、比較的健康な中年層に限定されています。
参加者には、1日平均で収入を得る仕事、家事、育児、介護にそれぞれ何時間使っているかを自己申告してもらいました。
これらすべてを合計した時間が、本研究における「総労働時間」です。
また健康状態については、睡眠を取っても回復した感じが得られないかどうかを尋ねる「非回復性睡眠」の指標と、主観的なメンタルヘルスの状態を評価する質問が用いられました。
分析の結果、女性は有償労働時間では男性より短いものの、家事などの無償労働に多くの時間を費やしており、総労働時間では男性より長いことが明らかになりました。
さらに、総労働時間が長い人ほど、男女ともに非回復性睡眠を感じやすい傾向が確認されました。
加えて、女性では総労働時間が長いほど、メンタルヘルス不良のリスクも高まっていました。
これらの結果が持つ意味について、次項でさらに詳しく見ていきます。

























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