交通騒音が10デシベル高くなるごとに「抑うつ」リスクが5%、「不安」リスクが4%高まる
交通騒音が健康に影響を及ぼすこと自体は、これまでも指摘されてきました。
騒音は睡眠を妨げ、ストレス反応を高めることで、心臓病などの身体疾患のリスクを高めることが知られています。
近年では、こうした影響が精神的な健康にも及ぶのではないかという関心が高まってきました。
しかし、これまでの研究の多くは中高年や高齢者を対象としており、子どもや若者の成長期における騒音曝露が、その後の精神健康にどのような影響を与えるのかについては、十分に調べられていません。
抑うつやうつ病、不安障害といった精神疾患は、思春期から若年成人期にかけて発症することが多いことが知られています。
そのため、この時期の環境要因を検証することは、精神疾患の理解にとって重要な意味を持ちます。
そこで研究チームは、成長期に交通騒音の多い環境で暮らすことが、将来の抑うつや不安障害の診断リスクと関連しているのかを明らかにすることを目的としました。
研究対象となったのは、1987年から1998年にフィンランドで生まれ、2007年時点でヘルシンキ首都圏に住んでいた約11万4000人です。
追跡開始時の年齢は8歳から21歳で、最大2016年まで約10年間にわたって追跡されました。
この間に、抑うつや不安障害と専門医療機関で診断されたかどうかが、全国医療登録データを用いて確認されています。
交通騒音については、各参加者の住所をもとに、道路や鉄道から発生する騒音レベルが推定されました。
引っ越しがあった場合には、その都度住所情報が更新され、曝露評価に反映されています。
さらに、建物の中で最も騒音が大きい側と最も静かな側を区別して評価し、夜間や夕方の影響を重く見る指標が用いられました。
また、家庭の社会経済的な背景や親の精神疾患の有無、地域の暮らしやすさ、大気汚染や周囲の緑地の量なども統計的に調整されています。
その結果、こうした要因を考慮しても、交通騒音と抑うつ・不安障害のリスクとの関連が残ることが示されました。
分析の結果、道路交通騒音が10デシベル高くなるごとに、抑うつの診断リスクは約5%、不安障害の診断リスクは約4%高くなることが分かったのです。
より詳しい結果については、次項で確認してみましょう。
























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