のど飴成分で糖尿病を改善できるか?

「運動した方がいいのは分かっていても、なかなか続かない」。
糖尿病をもつ人であれば、一度は感じたことがある悩みかもしれません。
特に、高齢で関節や心臓に負担がある人にとっては、「運動しなさい」というアドバイス自体が重荷になります。
さらに困ったことに糖尿病では、血液中のブドウ糖が多くなるだけでなく、運動に必要な筋肉側のトラブルも同時に進みます。
もともとヒトの骨格筋は全身の中でも大量のブドウ糖(血糖)を消費する組織です。
健康な人では、運動したり食後にインスリンが出たりすると、筋肉の細胞がどんどん血糖を取り込みます。
健康な人の筋肉の細胞は、運動したり食事をすると表面に「糖のドア(GLUT4)」が増えて、血液中から糖を取り込むからです。
しかし糖尿病になると、この「糖のドア」の数や場所が乱れ、インスリンがあっても、糖がうまく筋肉に入らなくなります。
糖が入らない筋肉はエネルギー不足になり、やせ細っていきます。
これが「糖尿病性サルコペニア」と呼ばれる状態です。
では運動の代わりに筋肉のスイッチを入れてあげられないか──これは糖尿病研究における夢の一つです。
実際、運動効果を真似る薬(いわゆる「運動模倣薬」)の研究も進んでいますが、安全かつ有効なものを見つけるのは簡単ではありません。
そんな中注目されたのが、4-ヘキシルレゾルシノール(4HR)という身近な化合物でした。
4HRは昔からのど飴の殺菌成分や美白化粧品の有効成分として利用されており、抗酸化作用や抗炎症作用など多彩な生物活性を持つことが知られていました。
(※海外の「のど用のトローチ」などには4-ヘキシルレゾルシノール(4HR)が含まれている製品がありますが、日本では4HRが含まれたのど飴や薬用のトローチはほとんどありません。また日本では食品添加物としての使用も認められていません。)
また近年では細胞の「燃料メーター(AMPK)」を活性化することがわかってきました。
またこの燃料メーターが活性化されると、細胞は燃料不足を察知し、「糖のドア」を増やすことも知られていました。
そこで研究者たちは、こののど飴成分(4HR)は細胞の「燃料メーター」と「糖のドア」を介して血糖値の改善や、糖尿病状態の筋肉を元気にできる可能性があると考えました。
もしそれが本当なら、「のど用の薬だと思われていた成分」が、筋肉の燃費と筋力の両方を少し底上げできるかもしれません。
本当にそんな都合の良いことが起こり得るのでしょうか。
























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