運動が「ネガティブな反復思考」と「ストレスへの過剰反応」を軽減し、メンタルヘルスの改善に繋がる可能性
研究チームは、統計モデルを用いて、運動と症状改善の間にある関係を詳しく検討しました。
その結果、運動による精神症状の改善は、今回検証した3つの要因のうち、ネガティブな反復思考と主観的ストレス知覚の低下によってほぼすべて説明できることが示されました。
つまり、運動をしたから直接症状が軽くなったというよりも、運動によって思考の回り方やストレスの受け止め方が変わり、その結果として症状が和らいだと考えられるのです。
一方で、睡眠の質は改善傾向こそ見られたものの、症状改善を説明する中心的な要因にはなりませんでした。
今回の研究では、睡眠の変化よりも、認知や感情のあり方の変化がより重要だったことになります。
では、なぜ運動をすると、ネガティブな反復思考やストレスの感じ方が変わるのでしょうか。
研究者は、主に2つの可能性を挙げています。
1つ目は、運動そのものが身体にとって一種の負荷となり、その経験を繰り返すことで、ストレスへの反応が次第に穏やかになるという考え方です。
心拍数の上昇や呼吸の変化といった身体反応を日常的に経験することで、心理的なストレスに直面した際にも過剰に反応しにくくなり、同じ出来事でもそれほど深刻ではないと受け止められるようになる可能性があります。
2つ目は、運動が注意とエネルギーを強く必要とする活動である点です。
走る、呼吸を整える、身体を動かすといった行為に集中することで、頭の中で繰り返されていた否定的な考えや心配から、意識が一時的に引き離されます。
このような思考の中断が積み重なることで、ネガティブな反復思考そのものが弱まっていくと考えられます。
もっとも、この研究にも限界はあります。
心理的要因と症状は同じタイミングで測定されているため、どちらが先に変化したのかを完全に断定することはできません。
また、比較対象となったグループは別の積極的な活動を行っていたわけではないため、集団で運動することによる社会的な影響を完全には切り分けられていません。
今後は、日常生活の中で運動を行った直後に、思考や感情がどのように変化するのかを、より細かく追跡する研究が求められます。



























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