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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
biology

5000年前の氷から蘇った細菌が「スーパーバグ退治」の力を秘めていた (2/2)

2026.02.18 17:00:49 Wednesday

前ページ5000年前の氷に眠っていた「したたかな細菌」

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敵にも味方にもなり得る二面性

しかしこの研究が注目される理由は、耐性の強さだけではありません。

SC65A.3は、臨床で問題となっている耐性菌群、いわゆるESKAPE病原体を含む複数の病原菌(スーパーバグ)の増殖を抑制する活性を示しました。

これらは病院内感染の原因として知られる危険な菌群です。

ゲノムには、抗菌化合物の生合成に関わる可能性のある遺伝子や、他の細菌や真菌を抑える働きを持つと考えられる遺伝子も確認されています。

さらに、未解明の機能を持つ遺伝子も約600個存在していました。そこには、まだ知られていない酵素や抗菌物質のヒントが隠れている可能性があります。

つまりこの細菌は「耐性遺伝子の貯蔵庫」であると同時に、「新しい抗生物質のヒントの宝庫」でもあるのです。

ただしリスクもあります。

もし氷の融解などによってこうした微生物が環境中に広がれば、耐性遺伝子が現代の細菌に移る可能性があります。

耐性は遺伝子のやり取りによって種を超えて広がることがあるからです。

研究者たちも、これらの微生物は慎重な取り扱いが必要だと強調しています。古代の微生物は科学と医学にとって重要な存在ですが、安全管理なしに扱うべきではないのです。

古代の氷は、未来へのヒントを秘めている

抗生物質耐性は、世界で毎年100万人以上の死亡に関与していると推定されています。新しい抗生物質の開発は急務ですが、候補は簡単には見つかりません。

その中で、5000年前の氷から蘇った細菌が、新たな突破口になる可能性があります。

自然界は、人間よりはるかに長い時間をかけて「攻撃」と「防御」の技術を磨いてきました。氷の洞窟は、その進化の記録を保存したタイムカプセルのようなものです。

古代の細菌は脅威でもありますが、同時に知恵の宝庫でもあります。

人類がその知識を安全に、そして賢く活用できるかどうかが、これからの鍵になるでしょう。

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