先延ばし癖のある人の「探索能力」と「創造性」
237名の参加者を対象に行われた分析の結果、先延ばしをする傾向が強い人ほど、この「ブリケット・タスク」で正答する確率が高いことが示されました。
先延ばし傾向が高い参加者ほど、途中で結論を急がず、複数の可能性を残したまま判断する傾向がみられました。
その結果、複数の条件が同時にそろったときにだけ成立する「連言規則」に気づきやすかったのです。
一方で、先延ばし傾向が低い参加者は、早い段階で単純な仮説に収束する傾向があり、複雑な規則を見落とすケースが相対的に多いことが示されました。
つまり論理的判断において、先延ばし癖のある人の方が優れている傾向があったのです。
さらに、新聞紙などの日用品の新しい使い道を考える「代替用途テスト(Alternative Uses Test)」という創造性の調査も行われました。
ここでも、日常的に先延ばしをしてしまう気質を持つ人は、そうでない人に比べて高い創造性スコアを記録したのです。
作業を遅らせている時間は、単なる空白の時間ではなく、脳が新しいアイデアを発酵させたり、多様な可能性を検討したりするための「種まきの時間」として機能している可能性があります。
ただし、先延ばしが創造性を直接高めると決まったわけではなく、どんな状況でプラスに働くのかは今後の検証が必要です。
また、今回の研究では興味深い矛盾も発見されました。
先延ばしをする人は、物事がうまくいかないときのイライラにどれだけ耐えられるかというフラストレーション耐性が、あまり高くないことが示されたのです。
彼らは不安やストレスに強いから、平気で問題を先延ばしして納期を無視するのだろうと一般的には考えられています。しかし研究によると、むしろイライラや不安を感じやすい特性を持っており、それにもかかわらず、脳の探索的な性質によって作業を中断し、別の可能性を追い求めてしまうために先延ばしをしている可能性が示唆されたのです。
今回の研究成果は、先延ばしが必ずしも「怠慢」や「欠点」だけを意味するものではないことを教えてくれます。
もちろん、期限を守ることは社会生活において重要ですが、もしあなたが作業を遅らせてしまったときは、自分を責める前に「もしかすると、今は脳が可能性を広く探ろうとしている時間なのかもしれない」と考えてみるのも、一つの視点かもしれません。
ただ、この研究は先延ばし癖のある人が全て、創造性に優れていて、遅らせた分の時間を常に有効に活用していると述べているわけではありません。そこはきちんと見極める必要があり、今後の研究課題と言えるでしょう。



























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