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ジャスティン・オーベル・シュミット/ Credit: en.wikipedia
biology

生涯で150種以上の虫に刺されてきた男 (2/2)

2026.02.25 22:00:56 Wednesday

前ページ7歳の“実験”から始まった痛みの研究

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自らの身体で作られた「痛みの地図」

野外調査でさまざまな昆虫を採集するうちに、刺される機会は自然と増えていきました。

毒の化学成分は分析できます。

しかし「どんな痛みか」という体験の質は、数値化されていませんでした。

そこで彼は「シュミット刺傷痛指数」を考案します。

痛みを1から4までの段階で評価し、さらに文章で詳細に記録する方法です。

レベル1はコハナバチという小さな蜂です。

「軽く、はかなく、ほのかにフルーティー。腕の一本の毛が小さな火花で焦げたようだ」と表現しました。

レベル2は英語圏で「イエロージャケット」と称されるスズメバチです。

「熱く、煙のようで、どこか不遜な感じ」です。

レベル3は先ほど言ったクロナガアリで、「巻き爪をドリルで掘られているようだ」と記しました。

そして最高ランクの4がサシハリアリです。

ブラジルの調査中に刺されたとき、痛みは「貨物列車のように」彼を直撃しました。

指数にはこう残されています。

「純粋で、強烈で、まばゆい……燃え盛る炭火の上を歩きながら、3インチのさびた釘がかかとに食い込むようだ」。

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サシハリアリ/ Credit: ja.wikipedia

タランチュラやウォリアーワスプも激痛をもたらしますが、持続時間はそれぞれ約2分と約1時間です。

サシハリアリの痛みは24時間続くといいます。

撃たれたようだと形容される理由も理解できます。

それでも彼は、刺された直後にノートとストップウォッチを取り出し、冷静に記録しました。

まず悪態をつき、その後に科学者に戻るのです。

35年にわたり指数を更新し続け、彼は150種以上の昆虫に刺されました。

痛みを恐れず、理解しようとした男

シュミットはその後、2023年に75歳で亡くなりました。

しかし彼が残した「痛みの地図」は、今も昆虫の防御進化を理解する手がかりになっています。

痛みはただの苦痛ではありません。

生物が生き延びるために磨き上げてきた、強力なメッセージなのです。

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