父性を弱める分子スイッチの正体とは?
Agouti遺伝子は、もともと毛色や代謝に関わる遺伝子として知られていました。
この遺伝子がつくるタンパク質は、メラノコルチン受容体に作用し、食欲やエネルギー代謝の調整にも関わることが分かっています。
今回の研究では、このAgoutiがMPOAでも働いていることが示されました。
Agoutiの発現が高いオスでは、MPOAの神経細胞で、活動の指標となる遺伝子のスイッチが入りにくくなっていたのです。
育児行動と強く相関しているこの脳領域の働きが弱まることで、子への接触や世話行動が減ってしまうと考えられます。
この関係を確かめるために、研究チームはMPOAの神経にAgoutiを人工的に多くつくらせる実験を行いました。
その結果、もともと子どもに対して曖昧な態度だったオスでは、子をかみ殺してしまう個体が増えました。
一方、もともと熱心に世話をしていたオスでは、世話の時間が減り、より無関心な態度へと変化しました。
つまりAgoutiは、父親行動を完全に切り替えるというより、優しい父親を素っ気ない父親へと押し戻し、状況によっては危険な行動へ傾けてしまう「調整スイッチ」のように働いていると考えられます。
では、このAgoutiの量を決めているのは何でしょうか。
研究では、集団飼育のオスでAgouti発現が高く、単独飼育のオスで低いことが確認されました。
さらに、集団飼育で育ったオスを単独環境に移すと、時間の経過とともにAgouti発現が下がり、子殺しは見られなくなり、子どもへの態度も世話寄りの方向へと変化しました。
一方で、短期的な食事制限ではAgouti発現や父性行動に大きな変化は見られませんでした。
つまり、影響しているのは空腹ではなく、長期的な社会環境だと考えられます。
群れが混み合い競争が激しい環境では、自分の生存や次の繁殖機会を優先する戦略が有利になる場面もあります。
一方、単独で暮らす状況では、今いる子どもに投資するほうが有利になる場合もあるでしょう。
Agoutiは、そのような戦略のバランスを脳内で調整している仕組みの一部かもしれません。
ちなみに研究者たちは、この結果をそのまま人間に当てはめることには慎重です。
ヒトにもMPOAやAgoutiは存在しますが、同じ仕組みが父性を決めているという証拠はありません。
父親としての行動は、遺伝だけでなく、経験や文化、社会的な要因が複雑に絡み合ったものです。



























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