タウリンの香りが決めるホヤの人生とホタテ養殖の未来

今回の研究により、ホヤ幼生の「くっつく場所えらび」と「大人への変身」の少なくとも一部が、ホタテやホヤ成体からしみ出すタウリンというアミノ酸の匂いによって動かされている可能性が示されました。
港のロープやホタテのカゴをびっしり覆う「ホヤ汚れ」。
その黒幕は、まさかのエナジードリンク成分タウリンかもしれない、というのがこの研究の皮肉なオチです。
ホタテやホヤの体の中にたっぷり蓄えられたタウリンが、傷ついたり排せつされたりするたびに少しずつ海水にしみ出すし、そのわずかな濃度の差を、海のオタマジャクシたちが嗅ぎ分け、「ここが天国だ!」とばかりに群がって尾を捨て、一生をそこに捧げてしまうのです。
そしてその決断は、先端のセンサーで検知され、たったごく少ない数の神経細胞しかない豆粒サイズの「頭」で決断が行われていることも示されました。
論文の中で研究者たちは、タウリン駆動のケモタクシス(匂いの濃い方へ泳ぐ性質)が「ホタテがホヤを呼び、ホヤがホヤを呼ぶ」フィードフォワードモデルとして、ホタテ養殖カゴの生物汚損現象を説明できると提案しています。
また、研究者たちは匂いの情報を中継ニューロンが受けとり、行動と変態に結びつけるという回路は、マウスや魚の嗅覚と性行動のつながりとも似ており、「ホヤ幼生のミニ頭」が脊椎動物の頭の原型を映している可能性も指摘しています。
さらにこの成果を利用できるなら、ホタテ養殖の現場で「タウリンの匂い」をうまくコントロールすることで、ホヤ汚損を減らしたり、逆にホヤを増やしたい場所へ幼生を誘導したりするしくみのヒントになる可能性があります。
もしかしたら未来の世界では、「この湾岸はホタテを守るためにタウリンカット加工をしています」あるいは「こちらの人工リーフはホヤをトラップするためタウリンを微量放出しています」といった表示が当たり前になっているかもしれません。




























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