あなたのプレイリストは知能を映すのか? 手がかりはメロディーではなく歌詞だった
あなたのプレイリストは知能を映すのか? 手がかりはメロディーではなく歌詞だった / Credit:Canva
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あなたのプレイリストは知能を映すのか? 手がかりはメロディーではなく歌詞だった (2/3)

2026.03.23 19:30:57 Monday

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知能と結び付いているのは音楽ジャンルより歌詞だった

知能と結び付いているのは音楽ジャンルより歌詞だった
知能と結び付いているのは音楽ジャンルより歌詞だった / Credit:Canva

ここからは、実際に研究がどのように行われ、どんな結果が出たのかを、順を追って見ていきます。

研究者は、まずスマホ追跡研究に参加した850人のデータを集め、その中から条件を満たした185人を最終的な分析対象にしました。

参加者の私物スマートフォンには、専用の研究用アプリが入っていました。

このアプリは、参加者が日常で実際に再生した音楽を5か月間記録し続けるものです。

その間、参加者は特に普段どおりの生活をするだけで、特別に「いい音楽を聴こう」なんて考える必要はありません。

5か月間で集まった音楽データから、非音楽トラックを除くと、全部で5万8247曲のユニーク曲が残りました。

研究チームはここから、その曲のテンポやメロディーの特徴(たとえば曲調が落ち着いているのか元気なのか、ライブっぽさがあるかないかなど)と、歌詞に含まれる言葉やテーマ(前向きなのか、暗めなのか、家庭を意識した言葉が多いのか、曖昧な言い方をしているかなど)をコンピュータで解析しました。

さらに、参加者一人ひとりの音楽を聴く習慣、たとえばどれくらい長く音楽を聴いているのか、ドイツ語の曲がどれくらい多いのかなども細かくチェックしました。

こうして、音楽の好みをトータルで215種類の細かな数値にまとめたのです。

次に、これらの数値が本当に知性と関係しているのかを確かめるために、参加者にスマホ上で簡単なテストを受けてもらいました。

このテストでは、新しい問題を考える力、言葉の理解力、数の知識にまたがる、いわば「考える力の土台」が問われました。

つまり、日常の音楽の好みと、この「考える力の土台」がどのくらい関係しているかを分析したわけです。

するとまず予想外なことに、少なくとも今回の実データでは、好きな音楽ジャンルそのものより、歌詞や聴き方の特徴のほうが知能予測に役立つことがわかりました。

これまでは「クラシックが好きだと頭がいい」という話がしばしばなされていましたが、今回の研究は、そういった単純な図式だけでは説明しきれないことを示しました。

しかし関連がみられたものもありました。

中でも最も知能と関連が強かったのは、歌詞の言葉づかいでした。

具体的には、前向き一辺倒ではない歌詞、現在に焦点を当てた歌詞、飾らない誠実さを感じさせる言葉、家やベッドのような家庭関連の言葉を含む歌詞などが、やや高い方向の認知能力予測と結びつく傾向が見られました。

一方で、社会的な言葉が多すぎるものや、曖昧さやためらいを含む表現、強すぎるポジティブな感情表現などは、やや低い方向の認知能力予測に関連していました。

筆頭著者のラリッサ・サスト氏も、音の特徴より歌詞のほうが認知能力の予測に役立ったのは驚きだったと述べています。

また音の側では、ほとんどの特徴はあまり役に立たなかったのですが、例外的に「ライブ感」が影響していました。

ここでいうライブ感とは、その曲が観客の前で録音されたような臨場感のことです。

研究では、ライブ感が高い曲を好む傾向は、やや低い方向の認知能力予測に出ていました。

何を聴くかだけでなく、どれだけ聴くか、そしてどれだけ言語の幅をまたいで聴くかといった“聴き方のクセ”も、考える力のごく小さな手がかりになっていたのです。

具体的には、全体の聴取時間が長く、ドイツ語の曲の割合が低い人ほど、高い方向の認知能力予測と結びつく傾向がありました。

しかし、なぜこれらの要素が知能と関連しているのでしょうか?

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