エアロゾルは勝手に広がり、温暖化を加速する
従来の研究では、エアロゾルは均一に分布すると仮定されていました。
しかし今回のシミュレーションでは、粒子が大気中でどのように移動するかが初めて現実的に再現されました。
その結果、非常に重要な現象が明らかになりました。
まず、エアロゾルは局所的に放出されても、加熱によって上昇気流に乗り、上空へと持ち上げられます。
その後、火星全体の大気循環によって、粒子は惑星規模で拡散していきます。
つまり、たった1カ所から放出したエアロゾルでも、数年で火星全体に広がるのです。
さらに重要なのは、ここで「自己強化的なフィードバック」が働くことです。
エアロゾルが赤外線を吸収すると周囲の空気が温まり、上昇気流が強まります。
すると、さらに多くの粒子が上空へ運ばれ、より広範囲に拡散します。
その結果、温暖化が加速するという仕組みです。
このような「放射と大気の相互作用」は従来見落とされており、本研究の核心となっています。
数十℃の温暖化も?現実味を帯びた火星改造
シミュレーションでは、エアロゾルを継続的に放出した場合、火星の表面温度は大きく変化しました。
数火星年のうちに急激な温暖化が起こり、最終的には約30℃以上の温度上昇に達する可能性が示されています。
これは、液体の水が安定して存在できる条件に近い値です。
また、興味深いことに、温度上昇のスピードは放出量にあまり依存しないことも分かりました。
つまり、大量にばらまかなくても、継続的に供給すれば効果が現れる可能性があります。
ただし、この結果はあくまで「最適化されていない粒子」を用いたモデルであり、理論上はさらに効率を高められる余地も残されています。
























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