大人になってからの診断は「アイデンティティの再構築」に繋がる
成人してから診断を受けることには、どんな意味があるのでしょうか。
最も大きいのは、これまで「努力不足」や「性格の問題」と見なされてきた困難を、神経発達の特性と環境のミスマッチとして捉え直せるようになることです。
たとえば、「締め切りを守れない」「人づきあいで消耗しやすい」「周囲と同じやり方をすると極端に疲れる」といった経験は、それまで「自分がだめだから起きること」に見えていたかもしれません。
しかし診断によって、「自分の脳の働き方には特性があり、その特性に合わない条件で無理をしていた」と理解できるようになります。
ただし、診断は安心だけをもたらすわけではありません。
むしろ多くの人にとって、それは自分の過去を見直す大きな出来事になります。
これまで築いてきた自己イメージが揺らぎ、「では本当の自分とは何なのか」と考え直す必要が出てくるからです。
2021年の研究では、成人でASDと診断された151人を対象に、診断後の自己認識と自尊心などの関係が調べられました。
その結果、自閉特性を自分の一部として受け止められる人ほど自尊心が高く、逆に強い不満を抱く人ほど自尊心が低いことが示されました。
また、診断から時間がたつほど、不満が和らぐ傾向も見られました。
ここで示されているのは主にASD成人のデータですが、成人後の診断が自己理解の組み直しを伴うという点では、ADHDにも重なる部分があります。
この「自分を組み直す」作業が、いわばアイデンティティの再構築です。
長年マスキングを続けてきた人は、社会に合わせるための自分を優先してきました。
そのため、診断されたあとに初めて、「本当は何が苦手で、何なら無理なくできるのか」をゆっくり確かめ直すことになります。
ここで重要なのは、診断は終点ではないということです。
名前がつけばすべて解決するわけではありません。
自分の困難を正しい枠組みで理解できるようになることで、対処の方向は大きく変わります。
環境を少し変える、負担の大きいやり方を見直す、必要なら心理的支援や医療につながるなどです。
ADHDでは薬物療法が役立つ場合もあります。
診断されたあとで、そうした選択肢が初めて現実的なものとして見えてきます。
実際、大人になってからの遅めの診断のあとで、自己理解や生活の質、メンタルヘルスの改善が見られるケースがあるのです。
診断とは、ただラベルを受け取ることではなく、自分に合った助け方を見つけるための地図を手に入れることだと言えるでしょう。



























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私も生きづらさを感じて病院でWAISを受けた時に、発達障害のグレーゾーンだと診断を受けました。
その時に医者が言ってくれた言葉が私の救いになっています。
「あなたの状態なら診断名を付けることは可能です」
「しかし、診断書を出してしまうことは、職場に配慮を求めることになります」
「配慮を求めるということは、あなた自身も評価上の制約を受けることになりますが、そこは大丈夫ですか?」
私は家族の生活に責任を負っている(諸般の事情で妻は働けない)ため、診断書は断った。
他人と同じ頑張り方や思考ではうまく行かないと納得できたため、頑張り方を工夫して「生き直す」ことで、今は充実した社会人生活を送れています。
「もうダメだ」と諦めるか、「何クソ、負けてたまるか」と踏ん張れるかは、テクノロジーが進歩した現代でも、その人の生存本能の強さに掛かっています。
論理的・科学的な全ての手法を尽くしたならば、最後には「根性論」が勝敗を決める時もあります。
だって、人間なんですから。