1.5~2歳の幼児は「もらう」より「与える」方が幸せ
人間は、食べ物を分けたり、困っている人を助けたりと、自分の得にならないことでも他人のために行動します。
ではなぜ人は、ときに自分の取り分を減らしてまで誰かに与えるのでしょうか。
これまでの研究では、人に何かをしてあげると、自分も気分がよくなることが知られていました。
心理学ではこの感覚を「ウォームグロー」と呼びます。
簡単にいえば、良いことをしたときに生まれる温かい満足感のことです。
大人ではよく知られた現象ですが、それがどれほど早い時期から見られるのかは、まだ十分には分かっていませんでした。
しかも、これまでの幼児研究には1つ大きな問題がありました。
子どもたちはたいてい、大人に「これをあげてね」と言われて行動していたのです。
そのため、子どもがうれしそうにしていた理由が、本当に「与えること」が好きだからなのか、それとも「大人の言う通りにできた」ことがうれしかっただけなのかが、はっきりしませんでした。
そこで今回の研究では、この点をきちんと切り分けるために、16か月から23か月の幼児134人を対象に実験が行われました。
子どもたちは保護者の膝の上に座り、テーブル越しに研究者と向き合います。
そして保護者は子どもに影響を与えないよう、ヘッドホンで音楽を聞き、目を閉じた状態で待機しました。
実験ではまず、サルのぬいぐるみが登場し、「おやつが好きだ」と説明されます。
次に子どもは8個のおやつを受け取り、「もらう」経験をします。その後、子どもは4つの場面を体験しました。
1つ目は、自分がもらったおやつの中から1つをサルに渡すよう、研究者からお願いされる場面です。
子どもは自分の取り分が減るので、「コストあり」の条件です。
2つ目は、研究者が新たに出したおやつをサルに渡す場面です。
こちらは自分の取り分が減らないため、「コストなし」の条件です。
3つ目は、研究者がサルにおやつをあげる様子を、子どもがただ見ているだけの場面です。
そして4つ目が、この研究で特に重要な条件です。
研究者が出したおやつを、子どもが自分のものとして受け取る場面です。
この条件では、大人の指示に従うことは同じですが、「相手のために行動する」という要素はありません。
子どもたちの感情は、実験中の顔の表情をビデオで記録し、研究の目的を知らない第三者が7段階で評価しました。
その結果、子どもたちは「もらう」ときよりも「与える」ときのほうが、より強い幸福反応を示しました。
さらに、ただ見ているだけのときよりも、子ども自身が実際に与えたときのほうが、全体としてより強い幸福反応が見られました。
では、その違いはどこまで確かなものだったのでしょうか。より詳細な結果を見てみましょう。





























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