幼児はすでに「人に与える喜び」を感じていた
詳しい分析から、いくつか重要なことが明らかになりました。
まず、子どもたちは自分のおやつを減らしてサルにあげる場合でも、研究者が用意したおやつを渡す場合でも、どちらでも高い幸福反応を示しました。
つまり今回の実験では、「どれだけ損をしたか」よりも、「他人のために行動したかどうか」のほうが重要だったのです。
しかも、自分の取り分を減らす場合と減らさない場合のあいだには、はっきりした差は見つかりませんでした。
次に注目すべきは、「自分のものとして受け取る」条件です。
子どもたちはこの場面では、特に強い喜びを示しませんでした。
その反応は、最初におやつをもらった場面と大きく変わらなかったのです。
ところが、同じように研究者の指示に従っていても、サルに与える場面では明らかに幸福反応が高くなっていました。
この結果によって、子どもの笑顔は「指示に従えた満足感」だけでは説明しにくいことが分かります。
少なくとも今回の実験では、子どもたちは単に大人の言うことを聞けたからうれしかったのではなく、「相手に与える」という行動そのものに、より強いポジティブな反応を示していたのです。
さらに研究チームは、子どもたちの喜びがサルの反応に引っ張られただけではないかも調べました。
もしサルがうれしそうにしていたから子どもまで楽しくなったのなら、それは「親切をした喜び」ではなく、相手の感情につられただけかもしれません。
ですが実際には、サルのうれしそうな反応の強さと、子どもの幸福反応には明確な関係がありませんでした。
つまり、子どもたちの喜びは、相手の表情につられた結果というより、自分で親切な行動をしたことと結びついていた可能性が高いのです。
これらの結果は、かなり幼い段階から、他人に分け与える行動そのものが感情的な報酬になっている可能性を示しています。
研究者たちは、こうした内的な報酬が、利他的な行動をくり返しやすくし、人間の協力的な社会を支える土台の1つになっているのかもしれないと考えています。
もちろん、この研究にも限界はあります。
参加したのは北米の1都市に住む家庭の幼児が中心で、文化や生活環境が異なる場合にも同じ傾向が見られるかは、まだ分かりません。
また、今回の感情評価は表情の観察にもとづいているため、今後は瞳孔の変化や皮膚の反応など、より客観的な指標を使った研究が進めば、理解はさらに深まりそうです。
それでも今回の結果は、「人に与えるとうれしい」という感覚が、私たちが思っているよりずっと早い時期から芽生えている可能性を示しています。
あなたも、わずか1.2歳のときから、「与える」ことで幸せを感じていたのです。





























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