七面鳥どころか自分が感電ーー客人前で起きた事故
1750年12月、フランクリンは再び電気を使って七面鳥を処理しようとしました。
彼は「電気で殺した鳥は非常に柔らかくなる」と考えており、その効果を確かめようとしていたのです。
実験では、ライデン瓶を複数用いて大量の電気を蓄え、それを一気に放出して七面鳥にショックを与える計画でした。
しかしここで、思わぬミスが起こります。
彼は片手で電気を取り込み、もう一方の手で装置につながる鎖を持っていたため、電流が自分の体を通ってしまったのです。
その結果、フランクリンは観客の前で強烈な電気ショックを受けます。
本人の記録によると、最初に感じたのは「全身が激しく震える感覚」でした。
その後、徐々に震えが収まり、意識や感覚が戻ってきたといいます。
観客は閃光と大きな音を目撃しましたが、フランクリン自身はそれに気づく余裕もなく、一時的に意識を失っていた可能性があります。
幸いにも、後遺症は軽いしびれや数日間の痛みにとどまり、深刻なダメージはありませんでした。
しかし本人はこの体験を「二度と繰り返したくない実験」と手紙の中で記しています。
それでも彼は、この出来事を単なる失敗で終わらせませんでした。
むしろ「人は思った以上に強い電気ショックに耐えられる」という知見を得たと述べています。
ただし同時に、「もし電流が頭を通っていたらどうなっていたかは分からない」と慎重な姿勢も見せています。
危険な失敗が科学を前に進めることもある
現代の感覚からすれば、雷雨の中で凧を揚げたり、晩餐会で電気実験を行ったりするのは、かなり危険で無謀に見えます。
しかし当時は、電気の正体すらよく分かっていない時代でした。
フランクリンは、そんな未知の現象に対して、自ら体を張って挑んだ研究者の一人だったのです。
七面鳥を感電させようとして自分が感電するという失敗は、一見すると滑稽にも思えます。
しかしその裏には、「なぜそうなるのか」を知ろうとする強い探究心がありました。
科学の歴史は、成功だけでなく、こうした危うい試行錯誤の積み重ねによって形作られてきたのです。


























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