DNAが暴いた「意外なルーツ」とは
研究チームは当初、このゾウたちは地理的に近いボツワナ北部・オカバンゴデルタ(Okavango Delta)周辺のゾウ集団に近いだろうと予想していました。
ところが実際には、解析されたDNAは数百マイル南に位置するナミビアのゾウ集団に最も近い特徴を示していたのです。
これは研究者たちにとって予想外の結果でした。
さらに重要だったのは、この“幽霊ゾウ”が、既知のどの解析済みゾウ集団とも異なる独自性を持っていたことです。
つまり彼らは、これまで十分に調べられていなかった独自性の高い集団である可能性があります。
なぜナミビアのゾウに近い遺伝的特徴を持つのかは、今後の大きな謎として残されています。
この発見は保全の観点からも重要です。
この集団がどれほどの規模で、どのように周囲のゾウ集団と関係しているのかを知ることは、保護の方針を考えるうえで大きな手がかりになります。
ちなみに研究者たちは、このゾウたちが1950年代にアンゴラで殺された伝説的巨大ゾウ「Henry(ヘンリー)」の子孫ではないかという仮説にも注目しています。
ヘンリーは、記録上最大の現生陸上哺乳類とされるゾウで、その遺骸は現在スミソニアン国立自然史博物館に収蔵されています。
しかし現時点では、幽霊ゾウとの直接的な遺伝的つながりは確認されていません。
現時点でヘンリーから得られている確かな遺伝情報は、母系をたどるミトコンドリアDNAに限られています。
そして解析結果では、幽霊ゾウとの一致は見られませんでした。
ただし研究者たちは、今後さらにDNAデータが集まれば、この謎にも決着がつく可能性があるとしています。
今回の研究では、糞便DNAから個体識別、性別判定、血縁関係の推定まで可能であることも示されました。
研究チームはこれを利用して、今後は集団規模の推定も進めていく予定です。
人目を逃れてきた”幽霊ゾウ”も、最新のゲノム科学からは完全には姿を隠しきれなかったようです。



























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