リモートワークが「効く人」と「効きにくい人」の違い
この研究で重要なのは、リモートワークの効果が全員に同じように現れるわけではないという点です。
リモートワークの頻度が高いことと満足度の高さがより強く結びついていたのは、リアルタイムの連携や細かなチーム調整をあまり必要としない仕事に就いている従業員でした。
個人で集中して進める分析、執筆、設計、資料作成などの仕事では、オフィスにいることの利点よりも、自分の環境で集中できる利点のほうが大きくなる場合があります。
一方で、常に同僚と相談しながら進める仕事や、即時の判断、チーム間の調整が多い仕事では、画面越しのやり取りが負担になり、リモートワークが必ずしも満足度の高さと結びつくとは限りません。
また、直属の上司をあまり好ましく評価していない従業員ほど、リモートワークの頻度の高さと満足度の高さが結びつきやすいことも示されました。
上司との関係が良くない場合、出社して顔を合わせることや、近くで監視されているように感じることがストレスになるかもしれません。
リモートワークでは、そうした直接的な接触が減り、心理的な距離を取りやすくなる場合があります。
ただし、これは「上司との関係が悪ければリモートワークにすれば解決する」という意味ではありません。
リモートワークが問題そのものを解決しているのではなく、問題との距離を取らせているだけの可能性があります。
この点は、離職意向の結果とも関係しています。
リモートワークでは、仕事がオフィスという特定の場所に結びつきにくくなります。
そして毎日同じ場所に通い、同僚と顔を合わせる感覚が弱まると、「この会社で働いている」という結びつきも薄くなる可能性があります。
つまり、リモートワークは満足度の高さと結びつく場合がある一方で、会社に残りたい気持ちまで強めるとは限らないのです。
むしろリモートワークが続くことで、そうした気持ちが弱っていく可能性すらあるのです。
この研究はリモートワークを考えるうえで重要な視点を与えてくれます。
リモートワークは、社員を幸せにする魔法の制度ではありません。
社員を本当に幸せにし、会社に残りたいと思わせるには、働く場所だけでなく、その向こう側にある信頼と職場の質が欠かせないのかもしれません。
































