緑の南極にいたティタノサウルス類
今回の化石が見つかった地層は、サンタ・マルタ層の一部で、年代は約8260万年前の白亜紀後期とされています。
近くから見つかったアンモナイトなどの海洋化石によって、年代をかなり正確に絞り込める点も重要です。
骨そのものは陸上動物のものですが、海で形成された地層から見つかっています。
そのため、この恐竜は死後、川などによって海へ流され、そこで堆積物に埋もれた可能性があります。
現在の南極からは想像しにくいことですが、当時の南極半島周辺は、植物が育つ温暖な環境でした。
シダや針葉樹などが広がる森林があり、そこには複数の恐竜が暮らしていたと考えられています。
ただし、南極の恐竜化石は非常に少なく、全大陸の中でも発見数が限られています。
これは南極に恐竜が少なかったというより、現在の南極の大部分が氷に覆われ、化石を探せる場所が限られているためです。
【チームが復元した緑豊かな南極にいたティタノサウルス類の画像】
その意味で、今回の小さな尾椎はとても貴重です。
南極で見つかった竜脚類の体化石としては、これがわずか2例目だからです。
また、この発見は、ティタノサウルス類が南半球の大陸をどのように移動していたのかを考える手がかりにもなります。
白亜紀の南極は、南米やジーランディア、現在のニュージーランド方面と近い位置関係にありました。
一方で、オーストラリアでは竜脚類化石は知られているものの、ティタノサウルス類の確実な化石はまだ見つかっていません。
そのためチームは、ティタノサウルス類が南米から南極半島を経由し、ジーランディア方面へ広がった可能性を指摘しています。
もちろん、1つの断片的な骨だけで移動ルートを証明することはできません。
しかし、これまで空白が大きかった南極の恐竜記録に、新しい点が加わったことは確かです。
およそ40年間、収蔵庫で静かに眠っていた小さな骨片は、実は南極の恐竜研究の始まりを示す標本でした。
そしてそれは、現在では氷に閉ざされた大陸が、かつて森林と恐竜の世界だったことを物語っています。
科学の発見は、必ずしも新しい発掘現場から生まれるとは限りません。
ときには、すでに引き出しの中にあったものを、もう一度見直すことから始まるのです。


























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