背中を撫でたときだけ、赤ちゃんの動きが減った
赤ちゃんをあやすとき、多くの人は自然に背中をさすります。
しかし研究チームが知りたかったのは、それが単なる習慣なのか、それとも背中という部位に特別な意味があるのかという点でした。
そこで研究チームは、日本人の母子15組を対象に、母親が赤ちゃんの「後頭部」「背中」「下腹部」をそれぞれ1分間撫でる実験を行いました。
実験中は、赤ちゃんの胸に心電図センサーをつけ、同時にビデオで頭、上半身、下半身の動きを記録しました。
また、撫でる刺激以外の影響をできるだけ減らすため、母親には赤ちゃんに話しかけたり、目を合わせたり、揺らしたりしないよう求めました。
結果は明確でした。
後頭部を撫でても、赤ちゃんの自発的な動きに有意な変化はありませんでした。
下腹部を撫でた場合も、明確な変化は見られませんでした。
ところが背中を撫でたときだけ、頭部と下半身の動きが有意に減少したのです。
一方で、後頭部を撫でたときには心拍が上昇しており、落ち着きというより軽い覚醒や注意の反応に近い変化が起きた可能性があります。
つまり、赤ちゃんは「どこを撫でても同じように落ち着く」わけではありません。
少なくともこの実験では、動きの減少という点で、背中への刺激がもっとも鎮静に結びついていました。
研究チームは、この反応に皮膚の触覚神経が関わる可能性を考えています。
母親が背中を撫でた速度は平均で約10.5cm/秒で、心地よい触覚に関わるC-tactile線維を刺激しやすい範囲に近いものでした。
ただし今回の刺激は比較的しっかりした圧だったため、単一の神経だけでなく、複数の触覚神経が同時に働いた可能性もあります。
では、背中への刺激は体の中でどのような変化を起こすのでしょうか。
ヒトの赤ちゃんでは、脳の内部で何が起きているのかを詳しく調べることはできません。
そこで研究チームは、マウスの仔を使って、背中への刺激が体や脳にどんな変化を起こすのかを調べました。


























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