スライドの情報を段階的に追加すると、テスト成績が良くなる
授業前のテストでは、一斉提示法グループと累積提示法グループの結果に有意差は認められませんでした。
一方,授業後のテストでは、累積提示法グループの方が有意に高い成績を示しました。
さらに大きな違いが表れたのが、授業中の視線です。
教員の説明に対応する箇所への合計注視時間は、累積提示法で約442秒、一斉提示法で約326秒でした。
累積提示法では、説明に関係する図やグラフへの合計注視時間が、約116秒長くなっていたのです。
また、説明が始まってから対応する箇所へ初めて視線が向くまでの時間は、累積提示法で平均1.00秒だったのに対し、一斉提示法では5.75秒でした。
完成版が最初から見えていると、学習者は多くの情報の中から説明対象を探さなければなりません。
一方、累積提示法では、新しく現れた図や文字そのものが「いま見る場所」を知らせる目印になるのです。
なお、画面全体を見ていた時間には、両グループで有意な差がありませんでした。
つまり、累積提示法の学生が単に画面を長く見ていたのではなく、同じように画面を見ながら、説明に関係する場所へ効率よく注意を向けていたのです。
研究者らは、この結果を、内容を細かく区切ること、重要な部分に目を向けやすくする工夫、音声と図を同時に提示することという三つの考え方が組み合わさった効果として説明しています。
また、授業やテストの難しさ、授業の分かりやすさに関する主観評価には、提示方法による有意な差がありませんでした。
つまり、学習者が「楽になった」と感じていなくても、成績や視線の動きには違いが表れる可能性があります。
今回の研究は、特別な教材を新しく作らなくても、説明に合わせて情報を段階的に表示する工夫だけで、学習者の注意と成績を改善できることを示しました。
学びやすいスライドを作るには、「何を見せるか」だけでなく、「いつ見せるか」も重要なのかもしれません。




























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