人生の意味を「感じること」と「探すこと」は別の心理状態
燃え尽きは、長く続く仕事上のストレスによって生じることがあります。
今回の研究では、心身のエネルギーを使い果たす「感情的消耗」、仕事に冷めて距離を置く「シニシズム」、自分は仕事で十分に役に立てていないと感じる「達成感の低下」の3側面から燃え尽きを捉えました。
同じように負担の大きい仕事をしていても、誰もが同じように燃え尽きるわけではありません。
そこで今回、研究チームが注目したのが、その人が人生にどの程度の意味を感じ、どの程度それを探しているかです。
心理学では、人生に目的や重要性、方向性があると感じる状態を「人生の意味の存在」、人生を有意義にする何かを求める状態を「人生の意味の探求」として捉えています。
一見すると、意味を失えば、それを埋めるために探求が強まりそうです。
しかし研究チームの過去の調査では、コロナ禍のフロントラインワーカーが人生の意味を感じにくくなっても、探求が自動的に強まるわけではありませんでした。
そこで今回は、2つの心理状態が燃え尽きとそれぞれどう関係するのか、さらに両者の組み合わせによって関係が変わるのかを調べました。
分析に使用されたのは、英国とアイルランドのフロントラインワーカーを追跡する「CV19 Heroes Project」のデータです。
初回調査は2020年3~4月に1239人を対象に行われ、その後も2021年、2022年、2023年に追跡調査が実施されました。
参加者の多くは、医療・福祉分野で働く人々です。
人生の意味は10項目の質問票、燃え尽きは9項目の質問票で測定しました。
なお、測ったのは仕事だけに限定した意味ではなく、人生全体に感じる意味です。
分析では、人同士の違いに加えて、同じ人の中で「本人の普段の水準より意味を強く感じた時」や「普段より意味を強く探した時」に、燃え尽きの得点がどう違っていたかも調べました。
その結果、人生の意味を感じている人は、燃え尽きの低さと、意味の探求は燃え尽きの高さと関連していました。
より詳しい結果を次項で見ていきましょう。































