ガラガラヘビの血中タンパク質の組み合わせが「10倍の効力」を発揮
ニシダイヤガラガラヘビ毒では、FETUA-2が出血を完全に抑えたものの、単独では5匹中2匹しか生存せず、生き残った個体にも中毒症状が見られました。
一方、FETUA-3は試験管内で一部の毒酵素を強く抑えましたが、単独では出血も死亡も防げませんでした。
ところがFETUA-2とFETUA-3を組み合わせると、マウス5匹がすべて生存し、目立った中毒症状も確認されませんでした。
研究チームは、2つのFETUAが異なる種類の酵素を抑え、互いの弱点を補ったと考えています。
ただし、致死作用に関わるどの毒酵素をそれぞれが阻害したのかは、まだ完全には特定されていません。
毒の構成が異なるヒガシダイヤガラガラヘビでは、FETUA-2とFETUA-3だけでは効果が足りず、FETUA-5も加えた3種類の組み合わせで初めて5匹すべてが生存しました。
これは、対象となるヘビの毒に応じて、必要なFETUAの配合も変わることを示しています。
また研究チームは、別の効力比較試験を行いました。
ここでは、FETUA-2、FETUA-3、FETUA-5の3種類の混合物を使用しています。
そして、この混合物で半数のマウスを救うのに必要とされた量は5.6mg/kgで、市販抗毒素CroFabでは52.6mg/kgでした。
つまり3種類のFETUA混合物は、この実験条件では重量当たり約10倍の効力を示したことになります。
FETUAが毒酵素の働きを直接止め、今回の毒で重要な複数の標的を少数のタンパク質で抑えたことが、高い効率につながった可能性があります。
ちなみに、これらはマムシ亜科の毒にも保護作用を示しましたが、すべてのクサリヘビ科の毒に効いたわけではありませんでした。
また今回の結果は、毒とFETUAを事前に混ぜた少数のマウスによる実験であり、咬傷後の治療効果を示したものではく、人間を対象とした試験も行われていません。
今後は、毒が体内に入った後から投与する救命試験に加え、安全性や体内での持続時間、ほかの主要毒素を抑える分子との組み合わせを確かめる必要があります。
それでもヘビが作り上げた自衛の仕組みは、より強力で安定して生産できる次世代抗毒素の設計図になる可能性があるのです。































