「孤独な人ほどAIに恋をする」とは限らない
AIとの恋愛については、孤独で社会から孤立した人が、寂しさを埋めるためにチャットボットへ依存するという見方があります。
映画『her/世界でひとつの彼女』でも、離婚後に孤独を抱えた主人公がAIアシスタントに恋をする姿が描かれていました。
しかし今回の研究では、恋愛的な孤独感とAIとの関係の強さとの間に、明確な関連は見つかりませんでした。
少なくとも、すでにAIと恋愛関係にある人の中では、孤独感や寂しさが強いほどAIへの愛情も強くなるとは言えなかったのです。
ただし、この結果だけで「孤独はAIとの恋愛に関係しない」と結論づけることはできません。
研究で測定されたのは、恋人がいないことなどから生じる「恋愛的な孤独感」です。
友人が少ないといった社会的孤立や、人生全体に対する一般的な孤独感は測定されていません。
また、もともとは孤独を感じてAIとの恋愛を始めたものの、会話を続けるうちに孤独感が軽減された可能性もあります。
実際、別の研究では、AIコンパニオンとの交流が孤独感を和らげる可能性も報告されています。
このため、孤独がAIとの恋愛の「入口」になっているのか、それとも関係が深まると孤独が軽くなるのかについては、今後さらに調べる必要があります。
今回の研究では、AIに人間らしい感情や意図があると感じる「擬人化」の傾向も、AIとの強い関係とわずかに関連していました。
AIの返答を単なる自動生成された文章ではなく、「自分を理解してくれた」「寂しがっている」「愛情を示している」と受け取る人ほど、相手を一人の人格として感じやすくなるのでしょう。
AIと強く恋に落ちる人は、単に孤独に耐えられない人とは限りません。
今回の研究から浮かび上がったのは、空想を広げることを好み、AIの言葉に人格や感情を感じ取り、会話の中に自分だけの恋愛物語を作り出せる人の姿です。
AIが人間らしくなるほど、私たちはその言葉を単なるプログラムの出力として扱うことが難しくなっていきます。
AIへの恋は、テクノロジーが一方的に生み出す感情ではなく、人間が持つ空想力や愛着、相手を人間らしく見る力によって形作られる関係なのかもしれません。






























